2024.08.09

桑田真澄氏が考える、セカンドキャリア形成に大切なこと|引退後も「勉強しないとダメ」

アスリートライブを運営する株式会社アーシャルデザインは2024年1月、桑田真澄氏のエグゼティブアドバイザー(顧問)就任を発表しました。

活動の第1弾として、同社の東俊介氏(株式会社アーシャルデザインINNOVATION事業部 事業責任者/北國銀行ハニービー監督)との対談を実施。

早稲田大学大学院時代の「同級生」というお二人ならではの親密で熱い会話がなされました。

本稿では対談終了直後の桑田氏にインタビュー。顧問就任への思いや現代のアスリートに対しての思いを語っていただきました。(取材・文:加賀一輝)

自分も勉強しながら貢献したい

ーー対談お疲れさまでした。どういう感想を持たれましたか。

桑田 対談はね、よくやってるので。自分の考えていること、やってきたことをそのまま話させてもらいました。

ーーアーシャルデザイン社の「エクゼクティブアドバイザー」という役職につかれて、半年が経ちました。これまでどのような活動をされてきたのでしょう。

桑田 まだスタート地点に立ったばかりなので、今回の対談が大きな第一歩ですよね。

ーーエクゼクティブアドバイザーに就任された際に「勝利至上主義と、人材育成主義を融合していきたい」旨のコメントを出されていました。

何か桑田さんの中で具体的なアイデアは、元々あったのでしょうか。

桑田 最初は東さんから声をかけてもらって、小園(翔太)社長の志や熱い思いを聞きました。僕にも少し協力できることがあれば協力させてもらいたいな、ということから始まったんです。

ーーとなると具体的に「こういうことをやる」というのは、それこそ社員の皆さんとお話をしていく中で。

桑田 そうですね、はい。あとは、自分もそうなんですけど、野球界の先輩や仲間たちが引退した後、結構苦しんでる人を見てきましたのでね。

なんとかセカンドキャリアも充実した人生を歩んで、今どうしたらいいのかなというのを自分の中でも問題意識を持っていたので、自分も勉強しながら、何か貢献していけたらいいなと思いますね。

野球界を支える「エース」に

ーーここからは桑田さんご自身のセカンドキャリアを伺いたいと思います。

本編でもありましたように、現役引退後は早稲田大学大学院でスポーツビジネスを中心に学び直し、その後は東京大学に進まれて研究を行うキャリアを歩まれました。

そもそもどうして、学び直しをしたいと思ったんですか。

桑田 現役を引退したわけですから。指導者になるって言っても、指導の勉強はしたこともない。

自分の経験と実績だけで指導するよりもちゃんとした根拠や、データ、数字を合わせて指導していく方が説得力があるし、選手たちにも伝えやすいんじゃないかということです。

まず、自分はそういう勉強をするべきだな。また、スポーツ界を発展させていくためには、スポーツビジネスもわからないまま、自分の過去の経験の中で指導するのは、あまりにも小さすぎるなと思ったんですね。

スポーツの現役選手としてど真ん中にいたんですが、野球界や組織がどうなっているのか、お金の流れとか、何にも知らなかったので、そういったことを勉強して、野球界・スポーツ界の発展につなげていきたい、貢献していきたいなと思っています。

ーーそういった思いというのは現役の頃からなんとなく思っていた、気づいた瞬間があったんですか?

桑田 現役時代はやはり若い頃って勘違いするんですよね。いつまでも現役でいられると思うんですよ。

僕自身もそうでしたし、ほとんどの人がそういう感覚ではいるんですよね。でも、確実に引退するんですよね。

引退した時に苦労するので、現役時代からやはりセカンドキャリアを意識しながら過ごすのはすごく大事だなと思いますよね。

僕も30歳を過ぎたあたりから、引退した後はどうしようかと少しずつ考えるようになったんです。

ーー実際にご自身でも考えられてきていたのですね。後輩にも苦しんでこれからどうしようって漠然な不安を抱える方がいると思うんですけど、実際に相談を受ける機会はあったりするのでしょうか。

桑田 ありますよね。僕はそういう時に伝えるのはやっぱり「勉強しないとダメだよ」って。

どの世界もやっぱり知識も大事だし、テクニックも必要だし、自分のやりたい方向性が決まったら、そこの勉強をしっかりするべきだと思う。実力をつけるべきだと思う。

僕も現役選手として自分を高めるために全力を尽くしたんですけど、引退したら今度は野球界を支えるエースになれるように頑張りたい。

そのためには知識や実力をつけないと支えることもできない。その世界での「エース」になることもできないと思うんで。

スポーツは「するスポーツ」、「見るスポーツ」、「支えるスポーツ」があると言われるじゃないですか。

「するスポーツ」でエースを目指し、引退したら「見るスポーツ」と「支えるスポーツ」でもエースになれるように実力をつけて、やっていきたいなっていう、そんな考えを持っていたんですね。

ーーある程度の年齢になったり、いろいろなものが見えてくると、その先のことを見据えて準備をしていかなきゃいけない。

桑田 その方がいいと思いますね。あとは若い選手には現状に満足せずにどんどん海外に出てもらいたいですね。

日本で強いって言ったって知れてるんですよ。やっぱり世界に出て世界を見るべきですよね。

そうすると考え方や目標も変わり、いろいろなことが変わってきますので。

僕はどんどん海外に行ってほしいし、ぬるま湯に浸かるなよ、もっともっと上を目指せって言うんですね。

休みの時ももっと野球以外のことに触れてほしい、触れなさいって言っています。小さな世界しか見えていないよりもっと広い世界、いろいろな世界を見て、自分を高めた方がいいよっていう話はしています。

ーー本編にも出ました「調和」や「バランス」みたいなものが大事だったりするんですかね。

桑田 ええ。現役中だとどうしても野球することが第一で、それでお金を稼がなきゃいけないし、考えがこびりついちゃうと思います。

でもそれだけじゃなくて、いろいろなことに手を出したり、それこそ海外にちょっと見聞を広めた方が人間として大きくなるみたいな。

その一歩をみんな踏み出せないんですよね。だから、ポンと背中を押すようにはしてますけどね。

ーー外国人選手と仲良くなって、オフにその人の実家に遊びに行くような話を聞きますが、ああいうのも有効なのですかね。

桑田 うん、そうだと思いますよ。

令和の時代、大事なのは「選択と集中」

ーー桑田さんは昭和から平成の時代に現役時代を過ごされていました。

その頃は桑田さんのような考え方を持っている方は少なかったでしょうし、少数派だったと思うんですけど、どうですか。

今、令和の世の中になって、アスリート自身の人間の形だったりだとか、あと周辺の環境みたいなものの変化をどう見ていますか。

桑田 難しい時代でもあると思うんですね。恵まれているところもあるんですけど、情報があふれていて。

ですから、今の時代に大事なことは、そのたくさんある情報の中から自分に合うものを選択していかなきゃいけないですよね。

「選択と集中」という言葉がありますけど、何が自分にとって大事で、それを集中してやることで成果を上げる、結果を残すということに繋がると思います。

これもいい、あれもいい、これもこれもっていうと、時間が足らないですよね。体力も集中力も足らないですよね。

そのありふれた情報の中から、どれが自分にとって必要かっていうのを選択して、それを集中してやっていくというのがすごく大事じゃないかな。選択と集中、今の時代はすごく大事だと思います。

ーー指導者として、その選択と集中をなんか選手たちに仕向けることはあります?

桑田 しますね、はい。あれもこれもやらないで、今月はこれをしようよとか、そういうふうには伝えますね。

ーー実際に選手たちは聞いてくれますか?

桑田 いや、聞かない人が多いですよ。あれもやりたい、YouTubeであれを見たからまたフォームが変わってる、また変えたよと。今年はそれでいったら? とか、そういう話もしますけどね。

ーー辛抱というか、見守る。

桑田 そうですね。コロコロ変わる人で、あまりいい選手に成長した話は聞かないですよね。

ーーないですね、確かに。

桑田 ちょっとずつ変わっているのかもしれないけれど軸はそのまま、その人らしさみたいなものがなんか残っているといいですよね。

それをまず見つけるのが、今の特に若い選手、若い社会人とかもそうかもしれないですけど、すぐにスパッとやめたりという人も多かったりするので難しいなって。

あとは、目標がない人とかね。いろいろな考え方があっていいと思うんですけど、目標がないって何なんだろうなって僕は思うんですよね。

限られた人生、 目標がなかったらどこに行くんだろうと。例えばプロ野球選手だったら、自分はこういう選手になりたいと目標があって、じゃあそのためにこういうことをやっていこうってなるわけじゃないですか。

ーーそうですよね。

桑田 でも、時間は待ってくれないので。もったいないなって僕は思うんですけどね。なるようになったっていう考えも一つあるんですけど、僕はそっちは選ばないですね。

ーーちなみにもう一度、桑田さんが引退してセカンドキャリアを歩むとなったら、今と同じ道を選びますか? 他の選択肢を持っておきたい、こっちに行きたかったみたいなものはありましたか?

桑田 いや、僕は野球をやるために生まれてきたと思うし、野球しかできないと思うので。

引退してもまたいろいろな勉強をして、それを野球界に還元していくというか、野球界に貢献できるように実力をつけてやっていく道を選ぶと思いますけどね。

ーー最後にこれからセカンドキャリアを歩むアスリートのみなさんに一言お願いします。

桑田 引退した後もしっかり目標を定める。目標を定めることによって、自分がどこに一歩を踏み出して、どの道に行ったらいいかわかると思うんですね。

目標をしっかり立てることが僕はすごい大事じゃないかなと思いますね。

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