Career shift

高橋美帆 / Takahashi Miho   元バレーボール選手|現在:

コンプレックスを武器にして、新たな世界で戦う 元バレーボール選手・高橋美帆

Profile

 

高橋美帆(たかはし・みほ)
1988年11月29日生まれ。幼少期からスポーツを好み、母と姉の影響で中学校からバレーボールを始める。市立川越高校時代には春高・インターハイ・国体に出場。全国高校選抜チームの一員として出場した世界ジュニア女子バレーボール選手権では銅メダルを獲得。高校卒業後、V・プレミアリーグのパイオニアレッドウィングスに入団。四年間の現役生活を経て、引退。その後、グローバルな人間になりたいと思い、外国語専門学校にて語学を学ぶとともに国家資格を始め多くの資格を取得。卒業後はハワイ留学を経験し、大手セレクトショップに就職。バレーボールコーチとして活動する中、ミスコンへ挑戦。Miss Hope Japan 2016で準グランプリを獲得後、本格的にモデル活動をスタートする。Miss Model of the World 2018 では、Best International Friendship Award を受賞。現在はシェアオフィスのコミュニティマネージャー、ウォーキング講師として活動しながら、モデルとして海外挑戦、また海外移住の準備を進めている。

東:
様々なアスリートの現役を終えた“その後の人生”に迫るインタビュー連載“表彰台の降り方。〜その後のメダリスト100〜”。今回は元バレーボール選手の高橋美帆さんにお話を伺います。

小松:
高橋さんは高校を卒業後、V・プレミアリーグのパイオニアレッドウィングスに入団。四年間の現役生活を終えた後は、専門学校で語学を中心に学び、ハワイへ短期留学。帰国後に大手セレクトショップ「ユナイテッド・アローズ」で働きながら、バレーボールの指導者としても活躍されました。現在は181cmの高身長を活かしてモデルとして活動しながら、ウォーキング講師として美しい歩き方、ポージングの指導もなさっています。

東:
現在の高橋さんの活動を“その後のメダリスト100キャリアシフト図”に当てはめますと、モデルやウォーキング、ポージングの指導者ということで「C」の領域でご活躍なさっているということですね。

注1)親会社勤務とはいわゆる企業スポーツである実業団チームで自らが所属していた企業で一般従業員として勤務していること
注2)親会社指導者とはいわゆる企業スポーツである実業団チームで自らが所属していた企業の指導者を務めていること
注3)プロパフォーマーとはフィギュアスケート選手がアイスダンスパフォーマーになったり、体操選手がシルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマーとして活動していること
注4)親会社以外勤務とは自らが所属していた実業団チームを所有している企業以外で一般従業員として勤務していること

小松:
現役時代とは全く異なるジャンルでのご活躍をなさっている高橋さんがどのようにキャリアをシフトなさってきたのか。お話を伺うのがとても楽しみです。

 バレーボール = 仕事

小松:
まずは現在のお仕事について伺ってまいります。様々なお仕事をなさっていると思うのですが、どのような割合で働いているのかお教えいただけますか?

高橋:
メインはシェアオフィスのコミュニティマネージャーのお仕事で、収入の70〜80パーセントを得ています。その他にインストラクターやモデルやタレント、講演などのお仕事を不定期にさせていただいています。

東:
現役時代、バレーボールの実業団選手の頃と比較して、収入はいかがですか?

高橋:
実業団選手時代のほうが収入はよかったです。トレーニングはもちろん衣食住に関しても何不自由無い環境が整備されていて、支出も少なかったですから、全く生活に関する心配をすることなく過ごしていました。

小松:
現役選手の頃は、会社における一般業務には従事なさっていたのでしょうか?

高橋:
いえ、バレーボールのみを業務とする契約社員でした。

東:
パイオニアという企業名を背負い、バレーボール選手としての活動をすることで、広報業務を担当するという位置づけで。

高橋:
そうですね。バレーボールをすることが仕事でした。

 最高の晴れ舞台でより輝くために

小松:
続いて、メインであるシェアオフィスのコミュニティマネージャーのお仕事の内容について聞かせていただけますか?

高橋:
10月に品川にオープンするシェアオフィスのコミュニティマネージャーで、イベントスペースを活用して、アスリートの皆様の活動PR、ファン獲得、イベント企画なども今後ご提案させていただきたいと考えております。

東:
アスリートのためのコミュニティスペースが出来るのですね!

小松:
品川という立地も素晴らしいですね。

高橋:
ありがとうございます。出張や試合などの多いアスリートにも利用しやすい場所だと思いますので、どんどん活用していただきたいです。こちらで管理職経験を積み、今後生涯設計として海外で活動できるよう、アンテナを張って行きます。またこちらの会社では、副業の了承を得てフレックス対応の勤務をしております。

東:
僕が開催しているアスリートと経営者の交流会などもお願いしたいです!

高橋:
嬉しいです!是非ご活用ください。

 マイナスからの挑戦

小松:
高橋さんは2016年に開催された「MIss Hope Japan 2016 」での準グランプリ獲得後、本格的にモデルとしての活動を始められたそうですが、こちらの大会に出場なさるきっかけは何だったのでしょうか?

高橋:
たまたま友人から紹介されたブライダルモデルの方に勧められたのがきっかけです。現役引退後、「ユナイテッド・アローズ」で販売員として働きながらバレーボールの指導者をしていたのですが、何かしっくり来ていなかった時に、友人と一緒にお茶をしている中で、ふと「ミスコンの参加者を募集しているけど、挑戦してみない?」と言われて。それまで自分がミスコンに出場するなんて考えたこともなかったのですが、その時に「やってみたい!」と思って。

東:
どんな出会いが人生におけるターニングポイントになるのか分からないものですよね・・・
実際にミスコンに挑戦するにあたって苦労なさったことがあればお教えいただけますか?

高橋:
最初は元バレーボール選手のイメージで損をすることもありましたね。モデルのレッスンではハイヒールを履いて四、五時間歩き続けるのですが、少し疲れた表情を見せただけで「何だ、意外と根性ないんだ」と言われてしまったり。他の女の子が同じ表情を見せたとしても「疲れているのに頑張っているね!」と言われるんですけどね(笑)

小松:
世間の持つトップアスリートへのイメージで、ハードルがかなり上がってしまいますよね。

東:
アスリートは、やたらと“根性がある”と思われがちですから(笑)

高橋:
もちろん私も根性では負けないと思ってはいましたが(笑)、モデルとして必要な筋肉がバレーボールに必要だった筋肉と全く違っていたことには苦しめられました。
本来、美しく歩くためには、内転筋(太ももの内側の筋肉)から腹筋に繋げるべきところをバレーボール時代の癖で大腿四頭筋や大腿二頭筋などの大きな筋群を使ってしまい、不必要に歩き方が大きくなってしまって。

小松:
そうなんですね!モデルとバレーボール選手では使う筋肉が違うだなんて、高橋さんが伝えなければ誰も知ることが出来ない貴重な情報です!

東:
長年に渡って身につけた身体の使い方ですから、矯正するのは大変だったでしょうね。
いっそゼロからつくりあげたほうが簡単ですよね。

高橋:
本当、ゼロからというより、マイナスからのスタートでした。

小松:
その後、様々な苦難を乗り越えて、見事に「MIss Hope Japan 2016」で準グランプリを獲得。これまでの常識が通用しない全く異なる世界へ挑戦して、見事に結果を残すことで自ら新たな道を切り拓かれたわけですものね。本当に素晴らしいです。

 人生初の・・・

小松:
モデルの世界にも激しい競争があると思いますが、そういった部分ではバレーボール選手として培ってきたメンタルの強さが活きたのではないですか?

高橋:
私も負けず嫌いという点では負けないと思っていたのですが、ミスコン世界大会の時は更に凄くて。生まれて初めて背伸びをしましたから(笑)

東:
面白いですね(笑)どんな状況だったのでしょうか?

高橋:
2018年に中国で開催された「Miss Model of the World 2018」という世界大会に日本代表として出場した際のお話なのですが、世界各国から集まった約60名全員で一斉に振付師から振り付けを教わる際にどんどん後ろに追いやられてしまって、背伸びをしないと全然見えなくなってしまったんです。

小松:
181cmの高橋さんが!

高橋:
モデルの世界でも180cm以上の方はさほど多くないのですが、この大会は特に厳格な身長制限があったこともあり、ライバル視されたのかも知れません。174cm未満の方は空港まで来ていても帰国させますというルールでしたから。

東:
なるほど。選考の中で高身長が有利に働くことが分かっていたので、潰しに来られたと。

高橋:
他の場面でもたびたび嫌な思いもしましたし、なかなか厳しい世界です。

小松:
モデルの世界では、アジア人がマイノリティとして差別を受けることもあると伺います。先日もYouTubeにアジア人が意地悪をされているシーンがアップされていましたが、英語が話せないというだけで不当な扱いを受けたりもするそうですね。

高橋:
あとは、事前に立ち位置を決められてしまいますよね。どれだけ動きが洗練されていたとしてもアジア人のモデルは目立たない場所で、たとえまともにウォーキングが出来ていなくてもアメリカやヨーロッパのステージ映えするモデルが目立つ場所になるんです。これは肌で感じました。もちろん悔しいですが、悔しさを感じつつも、それを踏まえた上でこの世界でどうやって戦っていくのかを考えていかなくてはいけないんです。

東:
実際に世界大会を経験したからこそ知ることが出来た現状もあるのですね。

小松:
高橋さんは高校生の頃にも全国高校選抜チームの一員として出場した世界大会で銅メダルを獲得なさっていますから、世界で戦うためのメンタリティをお持ちなのだと思います。

高橋:
元アスリートの経験と高身長は、私の最大の強みだと思いますので、それを活かしてモデルとしても世界で戦えるようになりたいと思っています。

東:
自らの“強み”を活かして、プロバレーボール選手からトップモデルへと鮮やかな転身を遂げた高橋さんですが、決して順風満帆なキャリアを歩んできたわけではありません。

小松:
高橋さんの現役引退後の様々な葛藤についてもお話を伺ってまいります。

高橋:
宜しくお願い致します。

小松:
元プロバレーボール選手の経験と181cmの高身長というご自身の“強み”を活かした美容と健康維持をサポートするウォーキング講師と、世界の舞台で活躍するトップモデルを目指しての挑戦、またシェアオフィスのコミュニティマネジャーとしての活動という現在のお仕事についてのお話を伺ってまいりました。

東:
周囲が羨むような鮮やかな転身を遂げられた高橋さんですが、決して迷うこと無く順風満帆にキャリアを歩んで来られたわけではありません。
現役引退直後に感じた様々な葛藤についてのお話から聞かせていただきたいと思います。

 小屋の中の安心・安全

東:
高橋さんは、高校卒業後にバレーボールの実業団チームであるパイオニアレッドウィングスに入団し、プロ契約選手として四年間活動なさった後、現役を引退。当時は引退後のキャリアについて、何かイメージなさっていたのでしょうか?

高橋:
特に明確なイメージを持っていたわけではありませんが、バレーボールに関する仕事はやりたくないと考えていました。

小松:
どうしてバレーボールに関する仕事はしたくないと考えられていたのでしょうか?

高橋:
高校を卒業してから、ずっとバレーボール中心の生活を送ってきて、この世界しか知らないことにコンプレックスがあったんです。新聞はほぼ読まない。水道代の支払い方も分からない。ゴミ出しすらしたことがありませんでしたから。このままではヤバいなと感じて、とにかく外の世界を見なければと思ったんです。

東:
言いかえれば、バレーボールに集中出来る環境が整備されていたわけですよね。

高橋:
そうですね。引退した現在だから分かるのですが、現役時代の私は用意されたレールに沿って進んでいるだけでした。トレーニング環境はもちろん、衣・食・住に関わることや、試合で移動する際のチケットや宿泊するホテルに至るまで何から何まで準備されていましたから、バレーボールでいいプレーをして、試合に勝利するためのこと以外を考えなくてもよかったんです。

小松:
競技のみに集中する生活は、プロフェッショナル・アスリートの一つの側面ではありますね。

東:
僕は、以前からトップアスリートはサーカス小屋の動物に似ている部分があるように感じていて。かなり例えは悪いかも知れませんが、“競技”というサーカス団の中で、“プレー”という芸を見せていれば、安全な寝る場所も安定した食事も貰えますが、年齢を重ねたり、怪我をすることで満足のいく“芸”が出来なくなったり、同じ“芸”が出来る新たな動物が現れたり、調教師や団員に歯向かってしまうとサーカス団から追い出されてしまいます。その時に、どうやって生きていくのか?そもそも、どれだけ自分が頑張っていたとしても、サーカス団自体が潰れてしまったらどうするのか?他の世界でも通用するような“芸”を身につけるのか?野生に戻っても、自ら獲物を狩ることが出来るように、獲物がいる場所を調べておいて、武器となる“牙”や“爪”を研いでおくのか?今、もらえているエサを何も考えずに食べているだけだと、いつか、エサがもらえなくなってしまった時には、食べていけなくなってしまいますよね。

小松:
ビジネスパーソンでも同じことが言えますね。組織に貢献するのではなく、ただただしがみついている人は組織自体がなくなってしまった時には働く場所を失ってしまいます。

高橋:
とにかく、このままではいけないと感じた私は、チームの親会社である東北パイオニア株式会社を退職後、好きな語学を学び、グローバルな人間になりたい!と思い、日本外国語専門学校に二年間通って、語学や国際観光、サービス、マナーについて学ぶとともに国家資格をはじめ十二の資格を取得しました。

東:
外の世界で生きていくための“芸”や“牙”や“爪”を手に入れたのですね。

 初めて社会に出る

小松:
日本外国語専門学校を卒業後、ハワイ大学へも留学なさいましたね。

高橋:
卒業前に、専門学校の仲間たちが一生懸命就職活動している姿が眩しくて。私も自分が社会に必要とされるのかを確かめたいと思って、生まれて初めて“就活”をしてみたんです。様々な業種へアプローチを図り、自己分析をしたりして、結果、「ユナイテッド・アローズ」から内定をいただけたのですが、卒業後、春に入社するのではなく、秋入社を希望して、卒業からの六ヶ月間で、学校で学んだ語学が実際に使えるのか試したかったのと、自分の目で広い世界を見てみたいということでハワイへ留学することを決めました。

東:
どのくらいの期間、留学なさったのですか?

高橋:
三ヶ月間で、短期留学プログラム「NICE PROGRAM」を修了しました。あっという間でしたが、視野を広げることが出来た貴重な経験だったと思います。

小松:
ハワイ大学での留学を終えて、ユナイテッド・アローズに入社。初めてバレーボール以外のお仕事をなさってみて、いかがでしたか?

高橋:
販売員としてのお仕事が中心だったのですが、最初は全然ついていけなくて。当たり前の話なのですが、コートの上で必要とされるスキルと社会で必要とされるスキルは違うのだと改めて感じました。

東:
高橋さんのような高身長でルックスも良い方が販売員をなさっていたらとても目を引くでしょうし、元プロバレーボール選手のキャリアはアイスブレイクにはもってこいのようにも感じますが。

高橋:
確かにお客様には興味を持ってもらえましたし、キャリアをお伝えすると「凄いね!」とは言ってもらえました。でも、それだけなんです。販売している商品の知識があるわけでもなく、セールストークも未熟。売上などを入力する際のパソコンも効率よく使えないわけですから。私がこれまで必死で身につけてきたスキルを役立てる場所が見つからなくて、社会から取り残されてしまったように感じていました。

東:
世の中ではスパイクではなく、キーボードを打つことを求められますからね・・・
せっかく学んできた語学を活かす場面も限られていそうですし。

小松:
現役時代にはパソコンを使用していなかったのですか?

高橋:
パソコンは持っていたのですが、チームスタッフに用意してもらった試合のためのデータを見るだけでしたので。エクセルなども使ったことがなかったです。引退後、パソコン教室に通ったり、専門学校での授業も受けましたが、社会で戦うには不十分だったと思います。

東:
スケジュール管理なども基本的にはチームに任せきりですよね。作成してもらったスケジュールの通りに動くだけで、自らの行動を管理するという意識が乏しいように感じます。僕は定期的にアスリートと経営者の交流会を開催しているのですが、経営者の方々と比較すると、アスリートは連絡に対する返信がなかったり、ドタキャンをする割合が高いように感じます。

小松:
アスリートだから仕方がないと許されてきた部分もあるのかも知れませんね。
競技を最優先すべきだと。

東:
実際には許されないですけどね(笑)叱ってもらえればまだいいですが、世の中の人は黙って離れていきますし、そういう人間なんだなと判断されてしまいますよね。

高橋:
確かにそういった部分があるかも知れません。

東:
僕はこれが大きな問題だと思っていて。僕はよく褒められるんです。「東君は元アスリートなのにレスポンスが速いし、ちゃんと時間どおりに来るから偉いよね」と。世の中の人たちが出来て当たり前のことを出来るだけで褒められる。つまり、アスリートは当たり前のことも出来ないというイメージを持たれているのではないかと。

小松:
立派なアスリートもたくさんいらっしゃいますが、そのようなイメージを持たれているとすれば勿体無いですよね。

東:
連絡に対して返信をする。行くといったら時間どおりに必ず行く。この二つを実行するだけでも、好印象を持ってもらえるようになると思いますので、お勧めです。

 自分を活かせる場所

小松:
ユナイテッド・アローズでのお仕事をしながら、バレーボールチームのコーチもなさっていたそうですね。

高橋:
先程もお伝えしたように、なかなか仕事で活躍出来ずにモヤモヤしながら働いていた時に、現役時代の私をご存知のお客様に気づかれて「なんでここにいるの?!」と驚かれたことがあって。その方にこれまでの経緯などをお話したところ「もっと自分の経験を活かせる仕事があるんじゃないですか?」と言われて。私自身は引退後にバレーボール以外の世界で働きたいという思いでユナイテッド・アローズに入社して、会社の理念にも共感していましたし、お仕事も好きだったのですが、「このままでいいのかな。もっと自分の経験を活かせるフィールドがあるのかも知れない」と思い始めるようになって。

東:
なるほど・・・

高橋:
そんな時にとあるスクールからバレーボールのプライベートコーチのお話をいただいたんです。それまでにも母校である市立川越高校では外部コーチを務めていたのですが、こちらはチーム全体に指導するというよりは、マンツーマンで行なうバレーボールの家庭教師のようなお仕事でした。

小松:
バレーボールの家庭教師、初めて伺いました。何というスクールなのでしょうか?

高橋:
NPO法人オーカスポーツマネジメントが運営する「オーカバレーボールクラブ&スクール」というバレーボールに特化したスクールです。上達を目的とした「プライベートレッスンコース」、集団でその回ごとに違う技術の習得を目的とする「グループレッスンコース」、楽しく体を動かすことを目的とした「チームレッスンコース」の三つの基本コースと、自分のチームに教えに来て欲しいというチームの方や、マンツーマンで個人的に教えて欲しいという方に向けた「出張レッスンサービス」があって、私は主にプライベートコーチを担当していました。

東:
オーカバレーボールクラブ&スクール、面白い事業ですね!所属していたチームの指導者やスタッフ、学校の教員になる以外でもバレーボールの経験とスキルを活かせるお仕事に巡り合えたわけですね。

高橋:
はい。それに加えて、西町インターナショナルスクールでのバレーボールのコーチングも担当させていただけることになり、ミスコンへの挑戦をきっかけにモデルのお仕事も始めることになりましたので、ユナイテッド・アローズは退職させていただき、こちらのお仕事に集中することにしました。

小松:
インターナショナルスクールでのバレーボールのコーチングは、留学で学んできた語学やバレーボールで培ってきたコミュニケーション力も活かせますものね。

東:
いよいよ元プロバレーボール選手というパーソナリティーを活かしながら、ご自身が興味をお持ちの外国語に関わるお仕事に就かれた高橋さんですが、元トップアスリートだからこそ感じる戸惑いもあったそうです。その戸惑いと現在のお仕事、今後の夢についてのお話を聞かせていただきます。

高橋:
宜しくお願い致します。

小松:
オーカバレーボールクラブ&スクールでのプライベートレッスンと西町インターナショナルスクールでのコーチという元プロバレーボール選手というパーソナリティーを活かしながら、ご自身が興味をお持ちの外国語に関わるお仕事に巡り合ったところまでお話を伺いました。

東:
プライベートレッスンのコーチをしていて感じた戸惑いについてのお話から聞かせていただきます。

 勝利を求めないバレーボール

東:
オーカバレーボールクラブ&スクールでは、主に出張レッスンサービスのプライベートコーチ、マンツーマンでのバレーボールの家庭教師のようなお仕事をなさっていたそうですが、並行しておこなっていた母校である市立川越高校での外部コーチとは、同じバレーボールでも全く指導内容が違ったそうですね。

高橋:
市立川越高校では、高校生に対してトップレベルの技術やトレーニング方法、メンタルの鍛え方などを厳しく伝えることで選手を上達させ、チームを勝利に導くためのサポートをするのが私の仕事でした。こちらは今まで私が過ごしてきた世界と同じ価値観でしたから全く違和感は無かったのですが、オーカバレーボールクラブ&スクールは個人を上手にしたり、チームを強くすることを目的とした「バレーボール教室」とは異なる発想から生まれたサービスで、「個人のスキルに合わせた指導を行う、定期的に通うことができるバレーボールの学校」をコンセプトに、「スポーツを通して、交流を通して、心身ともに健康になり、生き生きと笑顔が増えるような社会作りに寄与すること」を目的に展開しているので、「上手くする」や「強くする」ではなく、「より楽しく」を目的にバレーボールをするという価値観に、初めは大いに戸惑いました。

小松:
ある種のカルチャーショックを受けられたわけですね。

高橋:
勝利を目的とするのではなく、楽しくバレーボールをしましょう!という世界に初めて触れたので、最初は「こんなのは私が経験してきた世界とは違う!」と認められない部分もありました。
どうせやるなら勝ちを目指そうよ!何でもっと本気でやらないの?!みたいな。

東:
トップアスリートが陥りやすい考えですよね。でも、自分たちがいた世界は競技におけるピラミッドの頂点ですから、実はそちらの考えのほうがマイノリティなんですよね。
僕はスポーツの楽しさの本質は、“勝利”よりも“上達”にあると考えていて、相手に勝利することではなく、出来なかったことが出来るようになることや、より上手に出来るようになることにこそ価値があるのではないかなと思うんです。

小松:
トップアスリートが全てを懸けて勝利を目指す姿は多くの人々を惹きつけますが、努力すれば誰もが到達出来るというわけではないですから、ある意味非常識な世界なのでしょうね。

高橋:
おっしゃる通りで、バレーボール競技の愛好者全体を考えた時にニーズが多いのは、勝利するために必死に頑張るための厳しいコーチングではなく、バレーボールをより楽しむために上達出来るようなコーチングなんですよね。
バレーボールの世界の中でも、私が過ごしてきたのとは全く違う世界があることを知れたのはとても大きな収穫でした。

東:
トップアスリートの方々は上達するためのメソッドをご存知ですから、そちらを楽しくプレー出来るようになるためのプログラムにカスタマイズすることが出来れば、より多くのニーズに応えられるようになり、新たなマーケットが生まれるかも知れませんね。

 高身長女子を応援したい

小松:
現在は、ウォーキングやポージングなどのインストラクターや、シェアオフィスでのコミュニティマネージャー、モデルなどのお仕事をなさっている高橋さんですが、高身長女子のコミュニティも主催なさっているそうですね。

高橋:
そうなんです。私自身はアスリートやモデルという身長の高さを活かせるお仕事に巡り合うことが出来ましたが、世の中には身長が高いことにコンプレックスを感じて、背中を丸めて歩いている女性もたくさんいらっしゃいますので、その人たちが堂々と胸を張って歩いて、輝けるような環境をつくっていきたいと考えています。

小松:
背が高いことにコンプレックスを抱いている女性、確かにいらっしゃいますね。

高橋:
先日調査したところ日本人女性の0.1%が175cm以上で、数字にすると六万五千人くらいの仲間がいますので、もっと応援していきたいのですが、まだまだ発信力が不足しているのが現状です。

東:
思っていた以上に多いですね。具体的にはどのように応援していきたいと考えていらっしゃるのでしょうか?

高橋:
高身長を活かすためには、バレーボールやバスケットボールなどのスポーツだけではなく、モデルの世界でも有利に働くので、ミスコンをもっと活用してほしいということを伝えたり、高身長女子に向けた商品の開発を考えておりますので、それらの活動をマスメディアなどを通じてより多くの方々に発信していきたいと考えています。

小松:
高身長女子に向けた商品には、どのようなものがあるのでしょうか?

高橋:
一つはストッキングです。

小松:
なるほど、足が長くてフィットするものが見つからないのですね。

高橋:
ここで止まっちゃうんです(腿の真ん中あたりを手で示しながら)。

東:
羨ましいですが、スタイルが良いというのも大変なんですね・・・
これまではどうなさっていたのですか?

高橋:
主に海外の商品を購入して使用していました。イタリア製でとても高価なのですが、ストッキングなので、一、二回身につけただけでやぶれてしまうこともあって。

小松:
日本の商品は履けないのでしょうか?

高橋:
日本のブランドからも大きなサイズは販売されてはいるのですが、デザイン、履き心地ともに満足のいくものではありませんので、自分でつくってしまおうと思いまして。日本人の0.1%である六万五千人というマーケットは決して大きくはないかも知れませんが、ストッキングは継続的な需要がある商品ですので、十分ビジネスになるのではないかと考えています。

東:
消耗品で必需品が最も継続的な売上を計算出来ますものね。

小松:
現在は0.1%でも今後は高身長の女性はより増えていくでしょうし、マーケットは日本だけに留まらないわけですものね。

高橋:
そうなんです。この五十年間で日本人女性の平均身長は7cm伸びていますから。
現在一緒に開発してくださる企業様を探していて、まずはベージュや黒などのスタンダードな色から販売したいと考えています。他にも、私がブランドモデルを務めます高身長専門ブランド“ATEYAKA(アテヤカ)” HP:http://ateyakatall.jpも広めていきたいと考えています。ブランド名は「艶(あでやか)」から来ていて、高身長でも着られる洋服はモノトーンが多いのですが、“ATEYAKA”は鮮やかな色を展開していて、プロデューサーの思いが詰まったとても素敵なデザインばかりです。

東:
なるほど。最近では、ファッションデザイナーのハヤカワ五味(ごみ)さんが立ち上げた胸が小さな女性向けの下着ブランド“feast(フィースト)”や、以前にこの企画でお話を伺った元レスリング日本代表の岡田友梨さんが立ち上げた着痩せしたい女性向けのアパレルブランド“KINGLILY(キングリリー)”など、潜在的に困っている誰かのための商品がどんどんマーケットを広げているので、高身長女子向けのストッキングや洋服もきっとビジネスとして成功出来るのではないかと思います。

高橋:
岡田友梨さん、元トップアスリートにもそんな方がいらっしゃるのですね!

小松:
とても素敵な方ですので、是非ご紹介させてください。

東:
さて、それではここで改めて現在の高橋さんの活動を“その後のメダリスト100キャリアシフト図”に当てはめてみます。ウォーキングやポージングのインストラクター、シェアオフィスのコミュニティマネージャーとモデルやタレントのお仕事をなさっているということで「C」の領域でご活躍ですが、今後は高身長女子向けの商品開発などにもご活躍の幅を広げられそうですね。

小松:
モデルとしても本格的に海外でのご活躍を期待しています。

注1)親会社勤務とはいわゆる企業スポーツである実業団チームで自らが所属していた企業で一般従業員として勤務していること
注2)親会社指導者とはいわゆる企業スポーツである実業団チームで自らが所属していた企業の指導者を務めていること
注3)プロパフォーマーとはフィギュアスケート選手がアイスダンスパフォーマーになったり、体操選手がシルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマーとして活動していること
注4)親会社以外勤務とは自らが所属していた実業団チームを所有している企業以外で一般従業員として勤務していること

東:
今後は、どのような活動をしていきたいとお考えなのでしょうか?

 自らの経験を伝えたい

高橋:
いつか、本を出版したいと考えています。良くも悪くも身長が高いことで人とは頭一つ分違った生活をして来ましたから、プロバレーボール選手やモデルとしての視点から考えたことを伝えたいです。

小松:
素敵です!是非、高橋さんの想いを本にしてください。宜しければお手伝いします。

高橋:
有難うございます!!小松さんからそのようなお言葉をいただけてとても嬉しいです!勇気をいただきました!
例えば、バレーボールの世界では、多くの選手が高卒でトップリーグに入りますから、選手を辞めて社会に出る時に学歴が壁になって選択肢が狭くなってしまいがちなんです。引退後に大学を目指す人もいれば、そのままアルバイトをする人もいますし、私には何も出来ないからと逃げ道を探すように結婚を選択するという声も聞きます。どんな選択をするにして大切なことは、本当にやりたいことをやることだと思うんです。

東:
◯◯でもやるか、とか、☓☓しか出来ないから、ではない選択をするということですね。

高橋:
はい。本当にやりたいことが結婚やアルバイトであればいいですが、自らの可能性を諦めてしまうような選択をすべきではないと思うんです。私自身は諦めずに粘り強くやってきたので、そういう経験を記した本を出せれば少しはお役に立てるかと。アスリート以外の方にもセカンドキャリアに悩んでいる方の可能性が広がるような本を。

小松:
この企画のメインテーマはまさにそこなんです。現役のアスリートたちにこそ、現役のうちから引退した後にも多様な生き方があることを知ってもらい、準備を始めてほしいという東さんの想いからこの企画がスタートしましたから。

高橋:
今回、この企画をお聞きした時は本当にありがたいと思いました。私以外にもセカンドキャリアに困っているアスリートがいることはわかっていましたが、なかなか発信は出来ていませんでしたから。この問題に本気で取り組むこの企画には本当に勇気づけられました。

東:
そういっていただけると嬉しいです。僕自身も決して発信力があるわけではありませんが、今回、小松成美さんという素晴らしい方にご協力をいただくという幸運に恵まれたので、しっかりと価値のあるものにしていきたいと考えています。
さて、それでは、最後のお願いになりますが、バレーボールという競技名を使わないで自己紹介をしていただけますか。高橋美帆さんはどんな人でしょう?

高橋:
私は“人と違う”ことをコンプレックスやマイナスに考えずに自らの“武器”にして、スポーツやモデルのお仕事を通じて自らを育ててきた人間です。これからも自分の武器や仲間を増やして、多くの人たちの役に立つことで社会にインパクトを与えられる存在になれるように頑張ります。

小松:
身長も夢も大きな高橋さん、これからも応援させてくださいね。

東:
本日は素敵なお話をありがとうございました。

高橋:
こちらこそ、私の想い、メッセージを発信出来る機会をいただき本当にありがとうございました。
(おわり)

 

編集協力/設楽幸生

インタビュアー/小松 成美 Narumi Komatsu
第一線で活躍するノンフィクション作家。広告会社、放送局勤務などを経たのち、作家に転身。真摯な取材、磨き抜かれた文章には定評があり、数多くの人物ルポルタージュ、スポーツノンフィクション、インタビュー、エッセイ・コラム、小説を執筆。現在では、テレビ番組のコメンテーターや講演など多岐にわたり活躍中。

インタビュアー/東 俊介 Shunsuke Azuma
元ハンドボール日本代表主将。引退後はスポーツマネジメントを学び、日本ハンドボールリーグマーケティング部の初代部長に就任。アスリート、経営者、アカデミアなどの豊富な人脈を活かし、現在は複数の企業の事業開発を兼務。企業におけるスポーツ事業のコンサルティングも行っている。

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