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高橋美帆 / Takahashi Miho   元バレーボール選手|現在:

外の世界でも生きていけるように 元バレーボール選手・高橋美帆(中編)

Profile

 

高橋美帆(たかはし・みほ)
1988年11月29日生まれ。幼少期からスポーツを好み、母と姉の影響で中学校からバレーボールを始める。市立川越高校時代には春高・インターハイ・国体に出場。全国高校選抜チームの一員として出場した世界ジュニア女子バレーボール選手権では銅メダルを獲得。高校卒業後、V・プレミアリーグのパイオニアレッドウィングスに入団。四年間の現役生活を経て、引退。その後、グローバルな人間になりたいと思い、外国語専門学校にて語学を学ぶとともに国家資格を始め多くの資格を取得。卒業後はハワイ留学を経験し、大手セレクトショップに就職。バレーボールコーチとして活動する中、ミスコンへ挑戦。Miss Hope Japan 2016で準グランプリを獲得後、本格的にモデル活動をスタートする。Miss Model of the World 2018 では、Best International Friendship Award を受賞。現在はシェアオフィスのコミュニティマネージャー、ウォーキング講師として活動しながら、モデルとして海外挑戦、また海外移住の準備を進めている。

東:
元バレーボール選手の高橋美帆さんへのインタビュー、今回は中編になります。

小松:
前編では、元プロバレーボール選手の経験と181cmの高身長というご自身の“強み”を活かした美容と健康維持をサポートするウォーキング講師と、世界の舞台で活躍するトップモデルを目指しての挑戦、またシェアオフィスのコミュニティマネジャーとしての活動という現在のお仕事についてのお話を伺ってまいりました。

東:
周囲が羨むような鮮やかな転身を遂げられた高橋さんですが、決して迷うこと無く順風満帆にキャリアを歩んで来られたわけではありません。
今回は現役引退直後に感じた様々な葛藤についてのお話から聞かせていただきたいと思います。

 小屋の中の安心・安全

東:
高橋さんは、高校卒業後にバレーボールの実業団チームであるパイオニアレッドウィングスに入団し、プロ契約選手として四年間活動なさった後、現役を引退。当時は引退後のキャリアについて、何かイメージなさっていたのでしょうか?

高橋:
特に明確なイメージを持っていたわけではありませんが、バレーボールに関する仕事はやりたくないと考えていました。

小松:
どうしてバレーボールに関する仕事はしたくないと考えられていたのでしょうか?

高橋:
高校を卒業してから、ずっとバレーボール中心の生活を送ってきて、この世界しか知らないことにコンプレックスがあったんです。新聞はほぼ読まない。水道代の支払い方も分からない。ゴミ出しすらしたことがありませんでしたから。このままではヤバいなと感じて、とにかく外の世界を見なければと思ったんです。

東:
言いかえれば、バレーボールに集中出来る環境が整備されていたわけですよね。

高橋:
そうですね。引退した現在だから分かるのですが、現役時代の私は用意されたレールに沿って進んでいるだけでした。トレーニング環境はもちろん、衣・食・住に関わることや、試合で移動する際のチケットや宿泊するホテルに至るまで何から何まで準備されていましたから、バレーボールでいいプレーをして、試合に勝利するためのこと以外を考えなくてもよかったんです。

小松:
競技のみに集中する生活は、プロフェッショナル・アスリートの一つの側面ではありますね。

東:
僕は、以前からトップアスリートはサーカス小屋の動物に似ている部分があるように感じていて。かなり例えは悪いかも知れませんが、“競技”というサーカス団の中で、“プレー”という芸を見せていれば、安全な寝る場所も安定した食事も貰えますが、年齢を重ねたり、怪我をすることで満足のいく“芸”が出来なくなったり、同じ“芸”が出来る新たな動物が現れたり、調教師や団員に歯向かってしまうとサーカス団から追い出されてしまいます。その時に、どうやって生きていくのか?そもそも、どれだけ自分が頑張っていたとしても、サーカス団自体が潰れてしまったらどうするのか?他の世界でも通用するような“芸”を身につけるのか?野生に戻っても、自ら獲物を狩ることが出来るように、獲物がいる場所を調べておいて、武器となる“牙”や“爪”を研いでおくのか?今、もらえているエサを何も考えずに食べているだけだと、いつか、エサがもらえなくなってしまった時には、食べていけなくなってしまいますよね。

小松:
ビジネスパーソンでも同じことが言えますね。組織に貢献するのではなく、ただただしがみついている人は組織自体がなくなってしまった時には働く場所を失ってしまいます。

高橋:
とにかく、このままではいけないと感じた私は、チームの親会社である東北パイオニア株式会社を退職後、好きな語学を学び、グローバルな人間になりたい!と思い、日本外国語専門学校に二年間通って、語学や国際観光、サービス、マナーについて学ぶとともに国家資格をはじめ十二の資格を取得しました。

東:
外の世界で生きていくための“芸”や“牙”や“爪”を手に入れたのですね。

 初めて社会に出る

小松:
日本外国語専門学校を卒業後、ハワイ大学へも留学なさいましたね。

高橋:
卒業前に、専門学校の仲間たちが一生懸命就職活動している姿が眩しくて。私も自分が社会に必要とされるのかを確かめたいと思って、生まれて初めて“就活”をしてみたんです。様々な業種へアプローチを図り、自己分析をしたりして、結果、「ユナイテッド・アローズ」から内定をいただけたのですが、卒業後、春に入社するのではなく、秋入社を希望して、卒業からの六ヶ月間で、学校で学んだ語学が実際に使えるのか試したかったのと、自分の目で広い世界を見てみたいということでハワイへ留学することを決めました。

東:
どのくらいの期間、留学なさったのですか?

高橋:
三ヶ月間で、短期留学プログラム「NICE PROGRAM」を修了しました。あっという間でしたが、視野を広げることが出来た貴重な経験だったと思います。

小松:
ハワイ大学での留学を終えて、ユナイテッド・アローズに入社。初めてバレーボール以外のお仕事をなさってみて、いかがでしたか?

高橋:
販売員としてのお仕事が中心だったのですが、最初は全然ついていけなくて。当たり前の話なのですが、コートの上で必要とされるスキルと社会で必要とされるスキルは違うのだと改めて感じました。

東:
高橋さんのような高身長でルックスも良い方が販売員をなさっていたらとても目を引くでしょうし、元プロバレーボール選手のキャリアはアイスブレイクにはもってこいのようにも感じますが。

高橋:
確かにお客様には興味を持ってもらえましたし、キャリアをお伝えすると「凄いね!」とは言ってもらえました。でも、それだけなんです。販売している商品の知識があるわけでもなく、セールストークも未熟。売上などを入力する際のパソコンも効率よく使えないわけですから。私がこれまで必死で身につけてきたスキルを役立てる場所が見つからなくて、社会から取り残されてしまったように感じていました。

東:
世の中ではスパイクではなく、キーボードを打つことを求められますからね・・・
せっかく学んできた語学を活かす場面も限られていそうですし。

小松:
現役時代にはパソコンを使用していなかったのですか?

高橋:
パソコンは持っていたのですが、チームスタッフに用意してもらった試合のためのデータを見るだけでしたので。エクセルなども使ったことがなかったです。引退後、パソコン教室に通ったり、専門学校での授業も受けましたが、社会で戦うには不十分だったと思います。

東:
スケジュール管理なども基本的にはチームに任せきりですよね。作成してもらったスケジュールの通りに動くだけで、自らの行動を管理するという意識が乏しいように感じます。僕は定期的にアスリートと経営者の交流会を開催しているのですが、経営者の方々と比較すると、アスリートは連絡に対する返信がなかったり、ドタキャンをする割合が高いように感じます。

小松:
アスリートだから仕方がないと許されてきた部分もあるのかも知れませんね。
競技を最優先すべきだと。

東:
実際には許されないですけどね(笑)叱ってもらえればまだいいですが、世の中の人は黙って離れていきますし、そういう人間なんだなと判断されてしまいますよね。

高橋:
確かにそういった部分があるかも知れません。

東:
僕はこれが大きな問題だと思っていて。僕はよく褒められるんです。「東君は元アスリートなのにレスポンスが速いし、ちゃんと時間どおりに来るから偉いよね」と。世の中の人たちが出来て当たり前のことを出来るだけで褒められる。つまり、アスリートは当たり前のことも出来ないというイメージを持たれているのではないかと。

小松:
立派なアスリートもたくさんいらっしゃいますが、そのようなイメージを持たれているとすれば勿体無いですよね。

東:
連絡に対して返信をする。行くといったら時間どおりに必ず行く。この二つを実行するだけでも、好印象を持ってもらえるようになると思いますので、お勧めです。

 自分を活かせる場所

小松:
ユナイテッド・アローズでのお仕事をしながら、バレーボールチームのコーチもなさっていたそうですね。

高橋:
先程もお伝えしたように、なかなか仕事で活躍出来ずにモヤモヤしながら働いていた時に、現役時代の私をご存知のお客様に気づかれて「なんでここにいるの?!」と驚かれたことがあって。その方にこれまでの経緯などをお話したところ「もっと自分の経験を活かせる仕事があるんじゃないですか?」と言われて。私自身は引退後にバレーボール以外の世界で働きたいという思いでユナイテッド・アローズに入社して、会社の理念にも共感していましたし、お仕事も好きだったのですが、「このままでいいのかな。もっと自分の経験を活かせるフィールドがあるのかも知れない」と思い始めるようになって。

東:
なるほど・・・

高橋:
そんな時にとあるスクールからバレーボールのプライベートコーチのお話をいただいたんです。それまでにも母校である市立川越高校では外部コーチを務めていたのですが、こちらはチーム全体に指導するというよりは、マンツーマンで行なうバレーボールの家庭教師のようなお仕事でした。

小松:
バレーボールの家庭教師、初めて伺いました。何というスクールなのでしょうか?

高橋:
NPO法人オーカスポーツマネジメントが運営する「オーカバレーボールクラブ&スクール」というバレーボールに特化したスクールです。上達を目的とした「プライベートレッスンコース」、集団でその回ごとに違う技術の習得を目的とする「グループレッスンコース」、楽しく体を動かすことを目的とした「チームレッスンコース」の三つの基本コースと、自分のチームに教えに来て欲しいというチームの方や、マンツーマンで個人的に教えて欲しいという方に向けた「出張レッスンサービス」があって、私は主にプライベートコーチを担当していました。

東:
オーカバレーボールクラブ&スクール、面白い事業ですね!所属していたチームの指導者やスタッフ、学校の教員になる以外でもバレーボールの経験とスキルを活かせるお仕事に巡り合えたわけですね。

高橋:
はい。それに加えて、西町インターナショナルスクールでのバレーボールのコーチングも担当させていただけることになり、ミスコンへの挑戦をきっかけにモデルのお仕事も始めることになりましたので、ユナイテッド・アローズは退職させていただき、こちらのお仕事に集中することにしました。

小松:
インターナショナルスクールでのバレーボールのコーチングは、留学で学んできた語学やバレーボールで培ってきたコミュニケーション力も活かせますものね。

東:
いよいよ元プロバレーボール選手というパーソナリティーを活かしながら、ご自身が興味をお持ちの外国語に関わるお仕事に就かれた高橋さんですが、元トップアスリートだからこそ感じる戸惑いもあったそうです。次回は、その戸惑いと現在のお仕事、今後の夢についてのお話を聞かせていただきます。

高橋:
宜しくお願い致します。
(つづく)

次回「高身長女子が胸を張って生きていけるように」(後編)は、7月19日公開!

 

編集協力/設楽幸生

インタビュアー/小松 成美 Narumi Komatsu
第一線で活躍するノンフィクション作家。広告会社、放送局勤務などを経たのち、作家に転身。真摯な取材、磨き抜かれた文章には定評があり、数多くの人物ルポルタージュ、スポーツノンフィクション、インタビュー、エッセイ・コラム、小説を執筆。現在では、テレビ番組のコメンテーターや講演など多岐にわたり活躍中。

インタビュアー/東 俊介 Shunsuke Azuma
元ハンドボール日本代表主将。引退後はスポーツマネジメントを学び、日本ハンドボールリーグマーケティング部の初代部長に就任。アスリート、経営者、アカデミアなどの豊富な人脈を活かし、現在は複数の企業の事業開発を兼務。企業におけるスポーツ事業のコンサルティングも行っている。

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