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滝沢 ななえ / Nanae Takizawa   元バレーボール選手|現在:フィットネストレーナー

アスリートはどこまで個性を出す? 元バレーボール選手 滝沢ななえが生きる「自分らしさ」

  引退後のキャリアに向けて、興味の幅を広げておく

―― 素っ気なくされて、なにくそ!と思うんでしょうね(笑)。高校卒業後は実業団のパイオニアレッドウィングス(以下、パイオニア)に入団されます。

スカウトで入団したのですが、体育の先生にもなりたかったので体育大学に行く進路も考えていたんです。でも、今しかできないことはどちらだろうと。

実業団をやめてからも大学には入学できるけれど、当時、大学から実業団に入る流れってほとんどなかったんです。それなら今はバレーボールを頑張りたいし、一握りしか入れない世界に呼んでもらえることも貴重なのでトライしました。

でも最初に感じたのは「自分のいる場所じゃない。」ということ。当たり前ですが高校とはもうレベルが違いすぎて。トレーニング方法、練習量、体つき……。間違ったところに来てしまったかもしれないなと、最初の頃は思っていました。

1年目はユニフォームを着るなんて夢のまた夢。とにかく雑用です。試合会場ではビデオ撮影、データ収集、ドリンク準備、洗濯。ボールに触れるのは普段の練習くらいですが、シーズン中はレギュラーメイン。コートの隅でボール拾いや、練習後に自主練をしていました。

―― それこそ、わざわざ強豪チームでやっている意味ある?と思わなかったんでしょうか。

たしかに(笑)。先輩に追いつくことにあまりに必死で、思わなかったですね。高校のときは自分が試合に出ること、自分がいいプレーをして勝つことが重要でしたが、パイオニアではユニフォームを着られない自分の立場をちゃんと分かっていて。

だから雑用も意味のないことだとは思いませんでした。チームに対して今できることだから、この役割も大事だと思えたんです。2年目からはようやくユニフォームを着られるようになり、少しずつ試合に出られるようになりました。

▲ 現役時代の滝沢さん

―― そんな中、3年後に上尾メディックス(以下、上尾)に移籍されます。またがらりと環境が変わったのでは?

当時、パイオニアはVリーグのプレミアリーグ。対して上尾はひとつ下のチャレンジリーグ。環境はまったく違いました。チーム所有の体育館は無いので借り歩いていたし、それも限られた時間内でしか使えないし、パイオニア時代には当たり前だった栄養士や調理師はもちろんいない。以前がどれほど恵まれていたのかを痛感しました。

環境は整っていなかったですが上尾で4年頑張り、26歳のときに引退を決めました。ただ、キャリアに対して漠然とした不安はありましたね。バレーボールしかやってこなかったわたしが、バレーをやめていったい何ができるんだろうと。先輩たちがどんなキャリアをつくっているかも当時まったく知らなかったですし。

―― ということは、引退するときも次の進路は……。

まったく決まっていなかったです。

―― 当時のご自身に「引退後のキャリアに向けてこれをやっておいた方がいいよ」とアドバイスするなら、どのような声がけをしますか?

バレーボール以外のことにもう少し興味を持つこと。そうすれば選択肢はより広がったのかなとは思いますね。ずっとバレーボール漬けで、他のことを何もやったことがなかったんです。趣味でもなんでもいいから休みの日にやってみるとか、バレー関係以外のひとに会うとか。あとはもうちょっと勉強しておけばよかったですね(笑)。

といっても当時はバレーボールに集中しているので、難しかったとは思います。ただ「いろいろなことに興味を持つ」っていう意識があるだけで違うんじゃないかな、と。

  世間体と自分の心の間で揺れ、今大切にする「自分らしさ」

―― では、ここからは個性の話を少し。滝沢さん、30歳でレズビアンであることを公表されましたね。

はい、テレビのバラエティ番組で。2017年です。自分がレズビアンだと気づいたのは上尾に在籍していた22歳のときでした。

―― 公表しなくてもいい、もっと言うと公表することが絶対的な正義というわけでもない。その中で公表することを決めたのはどうしてだったのでしょう。

これからどう私の道を進んでいこう。そう考えたときにトレーナーとして頑張ることはもちろん、自分にしかできないことで社会のためになることをしたいと思いました。レズビアンであることを公表することも自分にしかできないことのひとつ。

トレーナーの数は多いけれどレズビアンのトレーナーは少ないですし、バレーボール選手として少しでも知名度のある自分が話すことで、同じようなひとたちの救いになったり、世の中の理解に繋がったりしたらいいなと考えたんです。

公表するまでにはもちろん葛藤も迷いもありました。自分がレズビアンだと気づいてからも、男性とお付き合いしたことがあったんです。年齢的にも世間的にも親に対しても、結婚したほうがいいのかなと思ったりして。でもやっぱり大好きにはなれなかった。世間体と自分の心、いったいどちらを優先したらいいんだろうと悩みました。

―― 今明るく話してくださる滝沢さんを見ていると、もう世間の目は気にしていないのかなと感じます。いかがですか?

今はもうほとんどゼロです。まわりからどう思われても言われても、母や仲の良い友人はわたしがレズビアンだと知ってくれています。理解して欲しいひとが理解してくれていれば充分。あとはもういいかなって。

―― アスリートはファンやチーム、協会のことを考えると「強い個性」や「自分らしさ」を出しづらい状況もあると思います。

わたしの場合、選手時代は男性ファンが多かったんです。キャッチフレーズも「美人すぎるバレーボール選手」でしたし(笑)。ななえちゃん、って応援してくださるファンの気持ちを考えると、やっぱりなかなか言えなかったですね。女子チームにレズビアンがいて平気なのかと非難されて、チームにも迷惑をかける可能性だってあります。

▲ 現役時代の滝沢さん

でも、ポジティブな意見だけじゃないことも覚悟して公表すると、ずっとファンでいてくださった方々が「それもあなただから、これからも応援するよ。」という声をかけてくださったんです。本来の自分を出して、それでも応援すると言ってくださるファンの皆さんの温かさに救われました。

自分らしさって、自分自身が「自分」であること。だから、自分の信念があるのなら貫き通していいと思うんです。まっすぐに伝えたら、届くひとにはちゃんと届きます。

―― 信念はあるけれど自分を出すのが得意じゃない。なかなか勇気が出ない。そんなひとは、初めの一歩として何からスタートしたらいいでしょうか?

このひとには、というひとにまず話してみること。みんなに理解してもらいたい!と、いきなり大きくやるんじゃなくて、少しずつ。わたしもレズビアンだと伝えることはハードルが高かったけれど、意外にポジティブな反応がもらえると、じゃあこのひとにも伝えて平気かなと思えてゆるやかに輪が広がりました。

もちろん言えないことや言いにくいこともあるし、言いづらい性格のひともいます。それでも自分らしさを少しでも出したい気持ちがあるなら、まずは身近な大切なひとからでいい。、焦らずひとりずつ、小さく一歩ずつです。

  取材後記

はつらつとしていて、大きく笑う滝沢さん。
潔く、さっぱりとしているその姿に
取材を通してこちらもエネルギーをもらいました。

アスリートライブにはこれまで
「自分らしく」今この瞬間を生きるアスリート
ストーリーをいくつも掲載してきました。

競技で培った経験を活かし、スポーツ業界に進む。
これまでとはまったく違う道に飛び込む。
会社員、起業、フリーランス。

生き方にも、キャリアにも、正解不正解なんてない。
「公表」「カミングアウト」なんていう言葉すら
存在しない世界にしたい。
そう思うんです。

自身の個性を話すときの滝沢さんの
澄んだ眼差しを、思い出しながら。

アスリートの「自分らしさ」に大きな可能性があることを
このアスリートライブを通して
これからも伝え続けていきたいと思います。

 

取材・文/榧野文香


滝沢ななえ Instagram
@nanaetakizawa

滝沢ななえ twitter
@nanae0922

「Spice up Fitness」
https://www.spiceupfitness.com/

Tシャツ提供 ニューモード株式会社
https://newmode0209.fashionstore.jp/

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