寺田 明日香 / Asuka Terada   元陸上競技選手|現在:現役ラグビー選手(ママアスリート)

現役ラグビー選手、そして、ママ。娘という存在が私のパワー。

さまざまな顔を持ち、今を輝くアスリートの皆さんを
これまでたくさん取材してきましたが、
今回、なんと初めての“ママアスリート”。

アスリートであり、妻であり、ママでもある。
競技も、仕事も、育児も、家事も。
彼女のモットーは「やるからには全力で」。

寺田さん、そんなに抱えて大変じゃないですか?

Profile

 

寺田 明日香(てらだ あすか)1990年1月生まれ

元陸上競技選手、現役ラグビー選手。女子100mハードルでインターハイ三連覇。高校3年時には100m、4×100mリレーと合わせて三冠を達成した。日本選手権でも初出場から三連覇を果たし、2009年には世界陸上出場、同年のアジア選手権では銀メダルを獲得。2013年に引退した後、2016年に7人制ラグビー選手に競技転向する形で現役復帰し、ママさんアスリートとして2020年東京オリンピックを目指す。

小さい頃からコツコツ練習、日本選手権三連覇の偉業を達成

―― 俊足の寺田さんですが、それは幼い頃からだったんですか?

とにかく走るのが速い子どもだったみたいで。両親ともに元陸上選手なので、DNAを受け継いでいるのかもしれません(笑)

陸上競技を始めた小学4年生から専門は100m。北海道出身なので札幌の大会に出て準優勝して、全道大会でも4位になって。全道で優勝すると全国大会に進めるので、東京に行けるんですよね。コツコツ練習を重ねていたら、5年生でちゃんと全国大会に出場できました。結果は準優勝。念願のディズニーランドにも行けて嬉しかったです(笑)

中学でも陸上競技を続けて、北海道恵庭北(えにわきた)高校に推薦で入学しました。陸上部が強い学校です。高校からは100mに100mハードルも加えて、両方の練習をしていました。違う種目をやることでいい刺激になったなぁと思います。

―― のちに日本チャンピオンになりますが、その姿は当時すでに想像できていましたか?

いえ、まったく!走ることが楽しい、もっと速くなりたいという気持ちでした。ただ、小学生ですでに全国大会に出場していたので、世界大会やオリンピックを目指したいなと夢描いてはいました。卒業アルバムにも「陸上で日本一になる」って書いて(笑)

高校から結果を出し始めて、100mハードルではインターハイ三連覇。3年生では100メートル、100mハードル、4×100mリレーで勝って、三冠。3つの種目に出るって体力をかなり消耗して大変ですし、リレーも勝つとなると個人だけじゃなくチームの強さも必要になります。三冠、三連覇の記録は今もまだ並ばれていません。

同じ年に100mハードルの日本高校記録も更新したんですが、それもまだ破られていなくて。後輩たちに頑張ってもらってそろそろ抜いて欲しいなぁと思っています(笑)

オリンピック選考を逃し、度重なる試練の末引退へ

―― 高校卒業後、日本選手権でも三連覇。順風満帆な競技生活のように感じます。

三連覇の二年目、2009年に世界陸上にも出場したんです。実は、世界陸上ってオリンピックより選考基準が厳しいんですね。調子もいいし、オリンピックにも出られるだろうと私も周りも信じていました。でも結局、怪我などが重なってしまってロンドン五輪を逃したんです。ガツンと殴られたように落ち込みましたね……。

また4年後を目指そうかとも考えたんですが、疲労骨折、貧血、軽度の摂食障害など、そこから不調が続いてしまって。私自身、どうすればいいか分からなくなってしまったんです。環境を変えるにも、そのパワーも当時の私にはなくて。悩んで、悩んで、「もう辞めます」と引退。まだ23歳でした。

―― 若くしての引退。後悔はなかったのでしょうか。

そのときはまったく。周りからも「もったいないよ」って止められたんですが、もったいないって言うならどうにかして欲しい、そう思ってしまうほどで。トラックから離れて新しい道に進もうと決めたんです。

− そうして今、寺田さんの舞台はまたもや“競技場”。
陸上選手としてではなく、なんと、現役ラグビー選手として。

陸上競技を引退したとき、日本ラグビーフットボール協会がちょうどリオ五輪に向けてチーム強化をしている時期で、私にも声をかけてくださったんです。ラグビー選手で私と同じほど走るのが速い方って日本人ではいないみたいで。

そのときは断ったんですが、3年経って現チームのトレーナーにも誘われたんです。それならまあ、ちょっとやってみようかなと軽い気持ちで始めてみることにしました。

そうしたら、2ヶ月後に日本代表のトライアウトがあるから受けてみればって言われたんですよね。それって結構ガチだなと(笑)主人にも相談して、もし受かったらオリンピックを目指すくらい真剣にやろうっていう結論になりました。結果、合格したので東京オリンピックに向けて一気にギアチェンジですよ(笑)

女子では珍しいラグビー、チームスポーツならではの楽しさ、魅力に惹かれ

―― まったく勝手の違うラグビー。怖くなかったですか?最初、どんな感覚でしたか?

何も分からずに始めたので、恐怖心はありませんでした。ただ、ものすごく衝撃的で。当時の私って身長168センチで体重47キロしかなかったので、ぶつかると吹っ飛ばされるんですよね。人ってこんなに飛ぶの!?って驚きました。転び方も知らないので人工芝に体をザザッとこすって火傷みたいになるし。でも、足を踏み入れたからにはやるしかないって覚悟しました。

ラグビーはフィールドを一緒に走る仲間がいます。いいプレイをすると仲間が集まって、その場で一緒に喜びます。失敗も成功もチームで分かち合えるところがいいなって。私ができないことは仲間が助けてくれて、仲間ができないことは私が助ける。そういうことがフィールド上で繰り広げられるのがラグビーの楽しさ、魅力だなと思います。

反対に、陸上競技は一人での勝負なんですよね。もちろんたくさんの方に支えてもらっていますが、最後はレーンを走る自分次第。私という一人の人間に注目してもらえるスポーツですし、応援してくれる人たちは私一人を見て、勝ったら喜んでくれます。陸上競技にはラグビーとは違ったそういう楽しさがありますね。

あと、ラグビーはチームスポーツなので、相手チームや仲間をよく見て自分がどう動くかを考えますが、陸上は自分自身にガッツリ集中してレースに臨みます。そのスタイルも全然違って面白いですね。

大学生活スタートと同時に結婚、妊娠、出産

―― それぞれの魅力があるんですね。それから、早稲田大学にも進学されて。

引退後はどこかの大学に入って勉強をしようって決めていたんです。ずっと陸上競技だけやってきたので、いろいろ学んで自分自身が何に興味を持つのかを知りたかったし、広い世界で新しい繋がりも持ちたいなと思っていて。あと、大学入学と同じ時期に、結婚、妊娠、出産と続いて(笑)

―― なんと……。きっと大変でしたよね。妊娠されると気持ちも不安定になるでしょうし。

いえ、忙しすぎて沈んでいる暇もなかったのでよかったなって。大学のレポートも毎週山のようにあって、ひたすら集中して書かなきゃいけないので具合が悪くなることもなく(笑)無事に娘が産まれてママになってからも、大学で勉強しつつ、知人の会社で経理の仕事も手伝うようになりました。

ラグビーを取り組むママの姿を娘にみせたい

―― タフですね!(笑)今、ラグビー選手としてはどのような状況ですか?

SDS(セブンズ・デベロップメント・スコッド)という日本代表候補チームにいます。そこで結果を残すと日本代表に上がれてワールドシリーズなどに出られるようになります。4月後半から日本各地で試合があるので、しっかりいいプレイをできたら代表に上がれる可能性はあるかな、という感じですね。

今はだいぶ体重も増えて55キロほどにはなったんですが、海外勢はやっぱり体が大きくて。タックルされた時にタッチラインに出されない技術や、こっちからもタックルをして倒せるような技術も強化しなきゃ。娘にかっこいい姿を見せるためにも勝ちたいですし、もっともっとスキルを磨いていこうって思います。

— アスリートであり、妻、ママでもある寺田さん。
取材の後半は、ご家族の話がたくさん溢れます。

ママの頑張っている姿って子どもに伝わるものだと思うんです。ママが何かを一生懸命やっている、その過程を目にすることで、頑張り続けることって大切だということを子ども自身に学んでもらえるんですよね。たとえ成果が出ても出なくても、何かに打ち込むことって素敵なこと、必要なことなんだって。

親が前向きに頑張っていないと、あと、頑張っていてもそれが伝わっていないと、やっぱり子どもは何となく生きてしまうと思います。これくらいでいいやって手加減して。子どもこそ大きな可能性があるのにもったいないですよね。

ただ、ママは頑張っているんだよ!っていう雰囲気を出しすぎてしまうと子どもの重荷になってしまうので、ちょっとずつ出すことで自然に感じ取ってもらうのがいいのかなって。夫婦関係と同じですね(笑)

―― ママであり、妻である。競技と家庭を両立するためには、ご主人の理解や支えも必要になってくるんじゃないかと思います。

家事や育児ってどうしてもママがやりがちなんですよね。でも、パパができることってたくさんあって。子どもをお風呂に入れたり、ちょっと掃除をしたり、ご飯のあとは食器を洗ったり。毎回じゃなくてもできるときにできることをやってもらえたら充分なんです、ママとしては。主人がスマホをいじっているとき、「今暇でしょ!」ってよく言います(笑)

あと「俺、これやっといたよ!」って強調されると、ママとしては「こっちは毎日やっていいるし、やってもいちいち言わないでしょ……」ってなっちゃうんです。だから、やったことはさりげなくアピールする(笑)もしくは「やっておいたけど、毎日これやるの大変だよね。いつもありがとう!」って感謝を伝えてくれると嬉しいですよね。言葉のコミュニケーション、伝え方っていうのはすごく大事だなって。

子どものことってママとパパが平等にやるべきことだと思うんです。たとえば、仕事で疲れていて今日は無理なら、明日ちょっと頑張る。分担を積み重ねていれば最終的にはちゃんと五分五分になりますよね。夫婦で相談して、どういうスタイルでやっていくのかを探していくことが大事かなって。相手への心遣いと、考えを伝え合うということも。

―― 私含め、世の中のパパに届けるべき内容ですね。最後に、アスリートとして、そしてママとしての目標を聞かせてください!

2020年の東京オリンピックに出場して、みんなでメダルを取ることが選手としての目標です。だから必要とされる選手になること。たくさんの人に応援してもらっているので、チームはもちろん支えてくださっている方々も含めて、みんなでオリンピックに出る気持ちです。私が努力することで多くの人を幸せにしたいなって思います。

ママとしては、何かをやりたいという子どもの想いを大切にすることですね。そのためには親として教育や基礎づくり、不自由のない暮らしを築くことが必要だと思っています。可能性は広げておいて、あとは娘自身で選択肢を見つけて、考えられるようになって欲しいですね。こんな道があるんだ、どれを選ぼうかなって迷ったり悩んだりすること自体が、彼女の頭の中でいろいろな考えがめぐっているという証拠なので。

娘がラグビーをやりたいって言えば、やっぱりやらせたいです。私の影響もあって、もうラグビーボールで遊んでいますし。ボールをキャッチする、投げるという運動基礎は今とりあえずラグビーボールで教えています。いざやるとなったら、ぶつかり合うスポーツだから少し心配ですけどね(笑)

取材後記

娘さんの話をする寺田さん、とてもやさしい顔。

でも“娘”という自分以外の人間に合わせる生活は
やっぱり大変で、精神的に強くなったとお話されます。

「娘がぐずったら夜中でも起きなきゃいけない。
仕事中でも娘が話しかけてきたら中断する。
私の都合で動くことはできない毎日の中で、
ストレス処理がうまくなって、丸くなったかな(笑)」

▲寺田さんのTシャツメッセージは、自分に打ち勝つという意の「克己」

小さなことにトゲトゲしなくなったという寺田さんは
ラグビーチーム内での仲間や自分の失敗、成功、
いろいろなことを広い心で受け止められます。

ママアスリートは強し。
彼女からふとこぼれた言葉が、それを表しています。

「娘を産んだから、娘という存在があるからこそ、
今、ラグビーというスポーツに挑戦できています」

 

取材/アスリートエージェント 小園翔太
取材・文/榧野文香


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