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2017.11.14
人を励まし勇気を与える生き方。チアダンス・松本真実
キュートな笑顔、ひらりと舞うスカート、色とりどりのポンポン。
「ゴー!ファイト!」と響く、元気で明るい声。
“可愛い”が似合うアスリート、チアダンサー。
でも、その裏側はもちろんストイック。
“可愛い”の奥にあるもの、松本さんから聞かせてもらいました。
Profile
松本 真実(まつもと まみ)1988年5月生まれ
元チアダンサー。幼少期からさまざまなダンスを経験し、全国大会での優勝、全米大会にて準優勝など数々の実績を残す。現在は「笑舞(しょうぶ)CHEER&DANCE教室」の代表として、チアダンスやジャズダンスを中心に指導。また、アスリートフードマイスターなどの資格を活かし、アスリート向けの勉強会なども開催している。

INDEX
ダンス歴20年、ソングリーディングで世界選手権出場
―― 松本さん、ダンス歴はどのくらいなんですか?
小さい頃から20年以上です。
ずっと踊っていますね。
幼稚園の年長のとき、遊ぶような感覚でまずはクラシックバレエを習い始めて。
中学ではバトントワリングという、棒を投げたりくるくる回したりする新体操のようなスポーツをやっていました。
高校ではダンスを続ける気は無かったんですけど、チアダンス部にいる先輩から「入らないの?入るよね?」って言われて(笑)
入部をして、高校3年間はチアダンスに全力投球しました。
コーチの指導のおかげで全国大会に出て入賞をして、全米大会にも出場することができたんです。
そこでも5位に入ることができました。
踊ることがどんどん楽しくなっていったので、大学でも続けたいなという思いで強豪校を探したんです。
やるからには世界を目指したいなって。
結果、文京学院大学のソングリーディングチームに入りました。
当時、大会で常に3位以内に入るような強いチームでした。
―― ソングリーディング、ですか?ちょっと聴き慣れない競技名ですが、チアリーディングとは違うのでしょうか。
皆さんがよく耳にするチアリーディングは、ダイナミックなジャンプやアクロバティックな技を行う競技なんです。
チームメイトの肩や手の上に立って組体操をしたり、人を持ちあげて飛ばしたりするパフォーマンスもありますね。
ソングリーディングは技よりもダンスがメインです。
華やかな踊りで観客を魅せる競技ですね。
NBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)やNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)はこのスタイルですし、今年は広瀬すずさん主演の映画『チア☆ダン』がソングリーディングを扱っているので、注目度が高くなっているんですよ。
大学でソングリーディングに励んで、2年生のときに全国大会に出て優勝して、日本代表として世界選手権に出場しました。
フロリダのディズニーワールド内のステージで踊らせてもらって、結果、準優勝したんです。
大学生時代からダンスのインストラクターとしても活躍
―― 世界の舞台を経験されて、しかも準優勝!すごいですね!その頃からすでにダンスを仕事にもされていたそうで。
大学1年生の頃からダンススクールでアシスタントをさせてもらって、2年生になると徐々に仕事の話をいただくようになったんです。
インストラクターとして指導、振り付けやバックダンス、芸能関連など、フリーランスとして色々なお仕事をさせてもらいました。
大学生の頃から貴重な経験をさせてもらっていたなぁと思います。
ただ、ずっとフリーランスでやっていくと決めていたわけじゃなかったので、大学3年生のときに普通に就活もしたんですよ。
内定もいただいて。
でも、結局、辞退しちゃったんです(笑)というのも、当時すでにフリーで仕事をしていることを面接で伝えたときに「副業していいよ」と言ってもらったんですが、入社前の研修中にどうも難しそうだと気付いてしまって……。
お断りしたのは卒業の間近でした。
―― 潔いというか、思い切りが良すぎます(笑)その後はどうされたんですか?
その時点で固定の仕事は週に1、2本のレッスンのみ。
それじゃお小遣い程度にしかならないので、ホテルのレストランとストレッチのお店でアルバイトを掛け持ちすることにしたんです。
朝から終電までひたすらに働いて、深夜は舞台のリハなどで寝ない日々でした。
レッスンをさせてもらっていた教室では、オーナーさんから全国大会に出場できるチームを一年で育てて欲しいと頼まれて。
一年という期限にちょっとプレッシャーはありましたが、しっかり結果を出すことができました。
それから毎年、全国大会に出場して。
出来ると信じて正しく頑張れば必ず結果は出る
―― 一年で結果を出しなさいと言われて、きっと怖さや不安がありましたよね。
えっと……それが、まったく無かったんです(笑)私なら出来るって信じて頑張り方さえ間違わなければ、必ず結果は付いてくるだろうって考えていたんですよね。
怖いと思う前に、とりあえずやってみればどうにかなるんじゃないかなって。
試してみて上手くいかなければ、そのときに考え直せばいいやという感じです。
あれこれ悩んでしまうくらいなら、まずは目の前のことに飛び込んでみる。
私、あんまり深く考えないタイプなんでしょうね(笑)
― そうして2016年、笑舞(しょうぶ)CHEER&DANCE教室(以下、笑舞)をオープン。松本さんは代表を務め、チアダンスやジャズダンスを中心にレッスンをしています。
一生懸命頑張る子ども達の姿が力に!
―― 独立しようと決めたのはいつ頃だったんですか?
大学を卒業したときから考えていましたが、具体的には……そうですね、25歳くらいから情報収集を始めていました。
どこでやればいいかなって土地やテナント探しは少しずつ進めていたんです。
たとえば、学校の場所をマップで調べて、小学校のある地域だと生徒さんを集めやすいかなとプランを立てたりして(笑)あとは、複数の路線が通っている、アクセスしやすい、駅から近いなど、希望に当てはまるものを探していました。
あとは、独立すると決めてから、経営者の方と会うように意識しましたね。
高校時代の部活仲間のひとりが会社を立ち上げているので、知り合いの社長さんを紹介してもらって。
初期費用はどれくらいかかるのか、テナントはいくらで借りられるのか、学ばせてもらったことを参考にして貯蓄もしていました。
―― 今、幼稚園生に小学生、障がいを持つ子も教えていらっしゃるそうですね。やんちゃ盛りな年ですし、大変なこともあるのではと思います。
大変というよりも、私にとってやりがいですね。
子どもたち、みんな可愛いんです!ダンスを楽しんでいる様子も、上手くなりたいって一生懸命に頑張っている姿も、パワーをもらいます!
障がいを持つ子を教えるきっかけは、笑舞に通ってくれている子のお母さんから「障がいのある子たちの習い事としてダンスをやれないか」って相談されたことで。
まずはワークショップから始めて、好評だったのでレッスンにして、という感じでした。
たとえば、ダウン症の子って自分ができない言い訳を一切しないですし、急に上達していることもあるので、教えていても驚かされることが多いんですよ。
頑張って踊ろうとする意欲の高さには大きなパワーを感じますね。
「先生、今度はいつレッスンあるの?」なんて笑顔で聞かれると、ダンスを教えていてよかったなぁと思えます。
『人生計画表』に書いてあったほとんどのことを実現している
―― ダンスを通して、子どもたちにどんなことを伝えたいですか?
諦めないこと、続けることの大切さです。
そのために、大会出場を目指すクラスではまずは子どもたち自身に目標を立ててもらいます。
「いつまでにこれをできるようにする」といった明確なゴールをひとつ決めて、シートにその経過を書いてもらっていて。みんなちゃんとびっしり埋めてくるんです。
私自身、現役のときはずっと練習ノートをつけていました。
あと、アルバイトをしていたストレッチのお店ではオーナーさんの方針で『人生計画表』を作ったんですよ。
5年先にどんな自分になっていたいか、何をすべきかという内容で。
そうしたらこの間、家の掃除をしていたときにポロッと出てきて(笑)
そこに書いていたこと、今ほとんど叶っているんです。
自分の頭の中にあるものを文字にして可視化して、忘れないようにすることって大事なんだと改めて気付きました。
あと、私は幼い頃からずっと「踊ること」をやめずにいて、強みって続けてきたことくらいなんです。
継続は力なり、以上(笑)体幹とかジャンプ力とか、そういう身体能力も必要かもしれないけれど、努力と継続ができれば上手くなれる。
それを身を持って経験したことも大きいかなって。
続けて達成することって自分自身の成功体験のひとつになりますし、やる気にも繋がると思うんです。
思考もポジティブになりますよね。
諦めないで努力すれば、思い描いていた人生を掴むことができる。
私自身が背中を見せながら、子どもたちにはダンスを通してそれを学んでもらえればと思います。
続けること、一歩ずつ進めていくこと
―― 継続は力なり。シンプルだからこそとても大切ですよね。今後、ダンスやチアを通して実現したいこと、野望はありますか?
チア講師という仕事のスタイルをしっかりと確立させて、チアダンサーをちゃんと仕事にできる仕組みを作っていきたいと考えています。
そうしてゆくゆくは今の教え子たちに繋げていきたくて。
今、私と同じ年代でチアの仕事をしている人はとても少ないです。
世界大会に出場した人でも、だいたいは普通の会社員になりますね。
実は、チア一本では食べていくのがものすごく難しいんです。
高いスキルを持っているのにお金をもらえないって何だか悲しくて……。
チア自体、そもそもプロっていう枠すら無いんです。
プロサッカー選手、プロ野球選手のように、プロチア選手というものがありません。
どこかの企業に勤めてそこのチアチームに入るという形はあっても、チアのみで毎月平均サラリーマンと同じほどの額を稼げるというのは、聞いたことが無いかもしれません。
まだ手探りなところもありますが、私は「好きなこと」を仕事にできて良かったなと心から思うんです。
だから、ダンスやチアを好きで教えたい人が諦めなくていいように、仕事として成り立たせたいと考えて今動いています。
私が昔チアを教えていた子が、今アシスタントとして私の教室で働いてくれているんですが、そういう子たちも大切にしていきたいなって。
私にやれることは他にもたくさんあると思うので、ここから一歩ずつ頑張りたいです。
取材後記
「私の強みって続けてきたことくらいなんです。」
少しおどけながら、そう話してくださった松本さん。
でも、取材を通して、松本さんの魅力を他にもたくさん感じたんです。
弾けるような明るい笑顔、諦めない大切さを伝えたいという強い信念、それから、後輩たちに指導の道をつくりたいという熱い想い。
松本さんの生き方は、まわりを励まし勇気を与えてくれます。
それってまさに、“チアスピリット”。
だから、次に彼女にお会いしたとき、こうお伝えしたいなって思うんです。
「松本さんという存在が、チアスピリットそのもの。
踊ることを20年以上やってきたからこその、ビジネスアスリートとしての大きな強みですね。」と。

松本 真実Mami Matsumoto
元チアダンサー
現在:ダンス教室代表/ダンス講師
笑舞CHEER&DANCE教室
https://shobucheerdance.jimdo.com/
取材/アスリートエージェント 久野晋一郎
取材・文・編集/榧野文香
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