2018.08.06

柔術家であり、アイドル、ミスユニバース。ブラジリアン柔術を広めたい一心で。大望

“アイドル柔術家”として注目を集めた
大望(だいのぞみ)選手。

ブラジリアン柔術家で
ねわざワールド-ISC-の代表でありながら
講談社主催のアイドルオーディション「ミスiD2016」を受賞。
「ミスユニバース福岡2018」ファイナリストに。

アスリートとしても結果を残しながら
モデル活動やメディア出演などを通じて
ブラジリアン柔術の魅力を発信しつづけています。

表舞台で華やかに活躍する大望選手ですが
幼少期の頃は引っ込み思案だったと言います。

彼女を変えたものはなんだったのか。

モデル活動をはじめた経緯から
現在のように自信を持てるようになった理由を伺いました。

Profile

大 望(だい のぞみ)1990年12月13日生まれ

ブラジリアン柔術家。ねわざワールドISC代表を務めながら、モデル活動を行う。講談社主催のアイドルオーディション「ミスiD2016」を受賞。「ミスユニバース福岡2018」ではファイナリストに。幅広いメディア活動を通じ、ブラジリアン柔術の魅力を発信し続けている。

 
怪我の後遺症があっても、ブラジリアン柔術なら始められた

―― そもそもブラジリアン柔術を始めたきっかけは何だったんですか?

きっかけは弟からの誘いでした。

もともと私は柔道をやっていて、弟も格闘技に打ち込んでいました。

でも私は事故で頭を打って目の神経を傷付けてしまい「滑車神経麻痺」という怪我をしました。

手術をして目は見えるようになりましたが、右目に「複視」という後遺症が残り、物が何重にもぼやけて見え、視野も狭く感じるようになってしまったんです。

弟は格闘技の試合で首の骨を折る大怪我をしてしまって。

障害が残り、左の握力は20kgほどしかない状態に。

―― 普通に考えると、スポーツをするのが難しそうな状況ですね……。

そうでしたね。

でも、格闘技をやりたい気持ちは2人ともあったんですよ。

そして弟が見つけたのがブラジリアン柔術でした。

私たちの怪我でも、この競技なら出来るんじゃないかという希望がありました。

打撃がないし、自分の楽なポジションで戦えるから握力がなくても戦える。

相手との距離が近いから視野が狭くても影響が少ない。

「俺たちにピッタリじゃないか」と弟に誘われて、ブラジリアン柔術を始めることにしました。

―― では、それからガッツリ柔術に打ち込まれたんですか?

いえ、そうでもなくて(笑)。

当時は21歳で、学生でしたので、月に4回しか行けなかったんです。

ISCが出来るまではそのペースで練習していましたね。

柔術にのめりこんだきっかけは、弟に「チームで柔術の練習をやらない?」と提案されたことですね。

ブラジリアン柔術が好きな友人だけを集めて、体育館で練習をしようと。

それが今の道場「ISC」の始まりでもありました。

―― 最初は個人的な集まりだったんですね。

そうですね。

でも次第にメンバーが集まってきて、そのうちにメンバーの1人が「こんなに教えてもらっているのに、無料では申し訳ない。会費をとってください」と言ってくださって。

最初は断っていたのですが、会費をいただくようになりました。

ただ当時の私たちは入賞経験がたくさんあるわけでもなくて、帯も白。

道場の人たちのためにも強くなりたいと思い、試合に積極的に出場し始めることを決めました。

試合を重ねるごとに強くなり、入賞や優勝が増えました。

帯の色は私が紫帯、弟が黒帯になって、実績もつきはじめましたね。

 
ミスIDは母が勝手に応募!ミスユニバースのファイナリストに選ばれる

―― ミスIDはどういう経緯で出られたんですか?

あれ、母が勝手に応募したんですよ(笑)。

「ミスiDっていうオーディション、あんた受かると思うけん。お母さん書いていい?」と母に言われて。

私は冗談だと思っていました。

書類審査には自己PR欄もあったけど、母がそれも書いて送ったようで。

そしたら書類審査が受かってしまったんです(笑)。

ただ2次審査の会場が東京だったので行くつもりはありませんでした。

でも所属している会社の出張とオーディションの日程がちょうど被って。

―― 偶然が重なったんですね。

タイミングが合ったからせっかくだし行こうかと。

それでオーディション会場に行くと、参加者のほとんどはアマチュア・プロの現役アイドルばかりでした。

元AKBグループや、女優の方もいて。

そんなフリフリで可愛い女の子達のなかに、ブラジリアン柔術家の私。

タイプが全く違うし、アイドルじみた振る舞いは得意じゃないし、そもそも賞を狙ってなかったから「もういいや、落ちにいこう」っていう気持ちになって(笑)。

だから二次審査の自己PRタイムの時に、道着をいきなり脱いで、柔術で鍛えあげた肉体をみせたんですよ。

「これはウケないでしょ!違うでしょ!」という意思表示で(笑)。

でも2次審査が通ってしまって、「受かったのか……」と。

―― 全然乗り気じゃなかったんですね(笑)。

本当にやる気はなかったですね(笑)。

オーディション開催期間中に、ブラジリアン柔術の試合会場にいくことがあり、そこで、「ミスiDで大さんのことを知りました!」と言う方にお会いして。

そのとき、柔術家以外の活動をすることで、道場を広められると思ったんです。

それから意欲的にがんばるようになり、3次審査以降も通り、最後は「ミスiD2016」を受賞できました。

―― ミスiDの一番の目的は、道場のPRだったんですか?

そうですね。

試合で勝てば名前を知る人もいるけど、それは格闘技界隈だけの話です。

業界を一歩出ると、全く知られていない。

私は柔術を知らない人にも知って欲しいんです。

柔術の魅力を外にアピールするには、柔術以外での別のアピールが必要だなと。

ミスiDを機に、モデルとして道場の広告活動をしていく事を決めました。

母の悪ふざけがなかったら、今みたいになってないので、人生何が起こるかわからないですね(笑)。

―― ミスユニバースの参加はなぜ決められたんですか?

私、ここまでの人生で、自分発信が少ないんですよ。

誰かに誘ってもらい、やってもらって、そこに乗っかることが多かった。

柔術も、ミスiDもきっかけは弟や母でした。

ミス・ユニバースも、もともとは今所属している事務所の代表の薦めでした。

でも書類審査に合格してセミファイナリストに選ばれた時に、自分の意思で何かをなし得たいと思ったんです。

道場を色んな方に更に広めていく為に最後までやりきろうと決意しました。

それからビューティキャンプという過酷な合宿も乗り越え、結果的に「ミスユニバース福岡2018」のファイナリストに選ばれることができたのです。

 
アスリート社員として働きながら、試合、モデル活動

―― 現在の活動を教えてもらえますか?

ねわざワールドISCの代表を務めながら、モデル活動などを通じて道場を宣伝しています。

それとエニタイムフィットネスというフィットネスクラブで、“アスリート社員”として働いています。

「アスリートのセカンドキャリアが豊かではない」というのをクラブの社長も疑問視していたんです。

私が社長と初めてお会いしたときに、「どうも、ブラジリアン柔術家として活動しています」と話すと、社長から「こういう制度を考えているけど、興味ある?」とお話をもらって。

それがエニタイムフィットネスのアスリート社員制度でした。

アスリート社員たちの競技はバラバラで、特に制限はありません。

そしてアスリートは自身の競技とからめて、エニタイムフィットネスの宣伝をします。

その宣伝活動を行う代わりに、サポートとしてフィットネスクラブの施設は自由に使えて、遠征にかかる旅費は全額支給されます。

また試合も仕事のひとつなので出勤とカウントされるんです。

そのため試合に多く出場した分は代休をもらえます。

―― アスリートとしては本当に至れり尽くせりですね。

はい。

アスリート社員制度を利用して、遠征にいきやすくなり、活動の幅が広がりましたね。

―― 試合はどれくらいの頻度で参加されるんですか?

2ヶ月に1回ほどですね。

距離が遠かったり試合間隔が短かったりして、出られないこともありますけど、ほとんどの試合に出場しています。

ただ、女子は選手人口が少ないのもあり、大会はあるけど、試合が開催できない場合も多いんです。

なので、もっとブラジリアン柔術に関心を持って、試合に出る女性が増えたらいいなと。

今のモデル活動には、ブラジリアン柔術の魅力を女性にもアピールしたい、そういう思いもありますね。

 
かっこいい自分が、道場の外でも出せるようになった

―― いままでのアスリート人生、競技の中で培ったものがあると思いますが、今の仕事に活きていることは?

たくさんありますね……。

私、子供の頃は目立つといじめられると思って、控えめに生きてきたんですよ。

じゃんけんでは後出ししてわざと負けたり、リレー選手になりそうだったら遅く走ったりとか。

すごく人見知りで、コミュニケーション能力は高い方ではなかった。

でも格闘技をやっているときは、違う自分になれたんです。

小学生の頃に柔道を始めたのですが、試合中は自信にあふれている自分がいました。

―― 試合になるとスイッチが入るんですね。

そうです。

最初は、試合が一度終わったらいつもの自分に戻りましたが、試合中のかっこいい自分を残して、道場の外でも振る舞えるようになりました。

それから、目立つ場所に出ることに抵抗感がなくなって。

スピーチをしてといきなり頼まれても「あ、じゃあ喋りますね」と即答できるし、なんなら喋りたいと思う。

目立ちたがり屋になりましたね(笑)。

―― 競技の経験がいまのご活躍につながっているんですね。

人から言われて何となく格闘技もモデル活動も始めたけど、人生で起こる全ての出来事は今の自分に必要だったから起こった事だと私は思います。

良い事も。悪い事も。

この出来事があったからこそ何かをなし得る日が、きっとくると思います。

これまでの経験はこれからの私にとって大きな財産になっていくと思います。

 
取材後記

ミスiDの受賞、ミスユニバースのモデル活動
そのような活動から
“アイドル柔術家”として名が広がった大望選手。

「アイドルなのに柔術をやっている」
そう捉えられることもあったと言いますが
取材中に見えたのは“ブラジリアン柔術家・大望”の姿。

彼女の真摯で力強い歩みを
これからも応援したいと思います。


<fontsize=2>▲ 「人間万事 塞翁が馬」。人生は何が起こるかわからない。良いことも悪いことも決して長く続くわけでもなく、人生は絶えず変化していく。


大 望Nozomi Dai

ブラジリアン柔術家
現在:ねわざワールドISC代表

取材/アスリートエージェント 東里直樹
取材・文/田中一成

大望 Twitter
@urtrahappy69

大望 Instagram
@isc.ultrahappy

ねわざワールドISC 公式ホームページ
https://isckimewaza.jimdo.com/

Tシャツ提供 ニューモード株式会社
https://newmode0209.fashionstore.jp/

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