2024.11.06
部活動指導員とは?仕事内容や必要な資格、メリット・デメリットを解説
部活動指導員とはどんな職業かご存知でしょうか。本記事では、部活動指導員の仕事内容や外部指導者との違い、必要な資格などをご紹介します。
部活動指導員に興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
INDEX
部活動指導員とは部活動の指導や試合に引率をする職員のこと

部活動指導員とは、部活動の技術指導や実技指導、大会や練習試合など学校外での活動の引率などを行う学校の職員です。校長の監督下で幅広い業務を担います。
部活動指導員の業務内容や導入された背景、外部指導者との違いを紹介します。
部活動指導員の仕事内容

部活動指導員の主な業務内容は下記の9つです。
- 実技指導
- 安全・傷害予防に関する知識、技能の指導
- 学校外での活動(大会・練習試合等)の引率
- 用具・施設の点検、管理
- 部活動の管理運営(会計管理等)
- 保護者等への連絡
- 年間・月間指導計画の作成
- 生徒指導に係る対応
- 事故が発生した場合の対応
部活動指導員は、部活動に関する業務のほかに、会計管理や生徒指導なども行います。
ただし、部活動指導員が一人ですべての業務を行うわけでなく、対象の部活動を担当する教員も連携・協力してくれるので安心してください。
部活動指導員と担当教員の連携方法は学校ごとに異なります。
部活動指導員が顧問となり担当教員が事務的な業務を担うケースや、部活動指導員と担当教員の双方が顧問となり役割を分担するケースがあります。
部活動指導員制度が導入された背景

2017年4月1日に、学校教育施行規則の一部が改訂され、部活動指導員が制度化されました。
部活動指導員制度が導入された背景には、部活動による教員の負担増大があります。
部活動指導員制度の導入前は、教員が部活動の顧問も担う必要があり、勤務時間が長くなるうえ勤務時間外に業務をしなければならない場合もありました。
また、担当部活動の競技を経験したことがない教員が顧問になる場合もあり、心身ともに大きな負担がかかっていました。
コーチとして外部指導者を配置する学校もありましたが、事務的な業務や学校外活動の引率は教員が行わなければなりません。
そのため、教員の負担軽減を目的として、外部指導者より幅広い業務を行える部活動指導員が制度化されたのです。
参照:JSPO
部活動指導員の給与

具体的な給与は、各学校の雇用契約や地域の教育委員会の方針に基づいています。
東京都教育委員会が令和5年度都立学校部活動指導員(会計年度任用職員)の募集要項で提示している内容は以下の通りです。※
- 令和6年3月 31 日までの総勤務時間253.75 時間
- 原則として平日3時間、休日4時間以内
(1)部活動指導に係る準備・打合せ等の時間を含む。
(2)長期休業中の平日は、休日と同様に扱う。
(3)対外試合等の場合の 1 日当たりの勤務時間については、7時間 45分まで可とす - 報酬額は時給 2,300 円
- 通勤手当相当額を別途支給(上限 2,600 円/日)
このように定められているため、一般企業で働く給与と比較するとそれほど多く支給されることはないでしょう。
しかし、公立学校なのか私立学校なのかでも契約期間や指導時間、業務内容が変わってくるため、詳細な情報は関連する学校や地域の担当者に直接問い合わせるか、雇用契約書を確認しましょう。
※参考:都立学校部活動指導員募集要項
部活動指導員と外部指導者の違い

部活動指導委員と外部指導者の大きな違いは、大会や練習試合などへの引率の可否、報酬の有無です。
部活動指導員は顧問として学校外活動への引率ができますが、外部指導者は単独での引率ができません。
部活動指導員は給与が支払われますが、外部指導者はボランティアとして報酬を支払っていない自治体もあります。
現在でも学校側は外部指導者を配置できますが、教員の負担軽減や事故などが起こった場合の責任の所在を明確にする点でも政府は部活動指導員を推進しています。
部活動指導員になるには?必要な資格はある?

部活動指導員になるためには、特定の必須資格は不要です。教員免許も必要ない場合が多く、資格の所持が絶対条件となることはありません。
ただし、各自治体によって異なる規定があるので確認が必要です。共通して求められやすい条件としては以下の通りです。
- 20歳以上であること
- 教員免許の保有経験(有効性は問われません)
- 児童生徒を指導した経験
- 日本スポーツ協会や運動種目の指導員資格を有すること
これらの条件をクリアすることで、部活動指導員として働けます。
そのため、関連する資格を取得しておくことが部活動指導員としての活躍の場を広げることにつながるでしょう。
部活指導員の求人を探して応募する

部活指導員になるためには、「部活指導員の求人を探して応募する」方法が一般的です。
求人情報は、自治体の教育委員会の公式ウェブサイトや、スポーツ関連の求人サイト、または学校の公式ページなどで確認できます。
募集している自治体や団体ごとに募集要件や採用プロセスが異なるため、自分の居住地域や興味のある学校の募集情報を定期的にチェックしましょう。
応募の際には、職務内容や求められる資格、指導経験の有無などの条件を確認し、必要な書類を揃えた上で、指定のフォームや応募方法に従って提出します。
また、応募後には面接や適性試験が行われる場合があります。選考に向けて、指導経験や自分の指導方針をしっかり伝える準備をしておくとよいでしょう。
部活指導員の求人の探し方

部活指導員の求人を探す際には、まず自治体の教育委員会の公式ウェブサイトをチェックすることが効果的です。
多くの自治体では、教育関連の求人情報が定期的に掲載されており、特に部活動指導員の募集要項もここで確認できます。
また、スポーツ関連の求人情報を扱う専門サイトや、学校自体の公式ウェブサイトでの採用情報も有益です。
ハローワークや求人情報アプリ、地方自治体の広報誌などを活用することで、地域に密着した求人情報を得ることができます。
定期的に上記の情報源を確認し、募集が開始された際には迅速に対応できるようにしましょう。
部活動指導員になるために有利な資格

部活動指導員になるためには、指導するスポーツや活動内容に関連した専門的な資格や、教育・指導に関する資格の取得がおすすめです。
部活動指導員に役立つ有利な資格を見てみましょう。
スポーツ関連の指導者資格
指導するスポーツに関する資格があると有利です。
例えば、日本サッカー協会のC級コーチライセンス、日本体育協会のスポーツ指導者資格、バスケットボールや野球、テニスなどの競技別指導者ライセンスなどがあげられます。
特に、競技団体が発行する指導者ライセンスは専門性の高さを証明するもののため、持っておくと有利です。
保健体育教諭免許

保健体育教諭免許は体育や運動に特化した教員免許です。スポーツや体力向上の指導に強みを持ち、学校教育現場でも部活動の指導者としてのニーズが高い資格です。
スポーツトレーナー関連資格
日本スポーツ協会が発行するアスレティックトレーナー資格や、日本体育協会の公認スポーツトレーナー資格など、選手の健康管理やコンディショニングに関わる資格があります。
部活動指導員として、怪我予防やリハビリに関する知識があると評価されやすいでしょう。
CPR・応急処置資格

学生の安全を守るために救命処置に関する資格(CPR資格や応急手当講習修了証)も持っておくと有利です。
緊急時に適切な対応ができることを証明するものとして、教育現場では重要視されます。
指導するうえで有利になる資格を持つことで、部活動指導員としての専門性や信頼性が高まり、学校や自治体からの評価が上がる可能性があります。
また、複数の資格を組み合わせて取得することで、より幅広い役割を担うことができるでしょう。
部活動指導員検定

部活動指導員におすすめの資格として、部活動指導員検定があります。
この検定試験は、単なる専門知識だけでなく、学校における部活動の位置づけや教育的な意義を正しく理解した指導者の普及と拡大を促進するためのものです。
この検定は筆記試験で構成され、学校一般科目・指導分野専門科目・部活動教養科目の3つの科目から成り立っています。
合格ラインは正答率80%以上で、合格率は50%以上とされています。難易度により変動するものの、一般的には合格率が高い傾向にあるでしょう。
参考:日本部活指導研究協会
公認スポーツ指導者資格(JSPO)

公認スポーツ指導者資格(JSPO)は日本スポーツ協会が認定している資格で、さまざまな年代やスポーツ活動に特化した18の資格があります。
これは、スポーツ指導者としてのスキルや社会でのスポーツ価値の向上を目指すために作られました。
特に部活動指導員に有益なのは、コーチングアシスタントやジュニアスポーツ指導員のJSPO資格です。
これらは、スポーツ指導の基礎やフィットネスに焦点を当てた資格で、部活動の指導に役立つでしょう。
JSPOの取得は養成講習会の受講と試験の合格が必要で、例えばコーチングアシスタントは講習会で取得可能です。
ジュニアスポーツ指導員は講習会と試験の受験によって取得できます。
JSPOの合格率は種類によって異なり、難易度もまちまちです。ジュニアスポーツ指導員は合格率90%で取得しやすい資格と言えます。
学校運動部活動指導士

学校運動部活動指導士は日本スポーツクラブ協会が認定する資格で、学校の部活動においてスポーツの楽しさを伝える指導者を育成することが目的です。
この資格を取得するためには、まず映像教材を視聴し、学校運動部活動指導士C級検定に受験して合格する必要があります。
その後、講習会への参加・修了と課題の提出を経て、最終的に学校運動部活動指導士A級検定に合格すると資格取得となります。
合格率は公表されていないものの、講習会が設けられているため学習機会が確保されていると考えられ、難易度は比較的低いと予想されます。
参考:日本スポーツクラブ協会ト
部活動指導員のメリット

部活動指導員になるメリットは3つあります。
- 子どもの指導に携われる
- 給与を受け取れる
- 自分の経験を活かせる
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
子どもの指導に携われる

部活動指導員になると、スポーツの楽しさや厳しさ、仲間の大切さを子どもたちに伝えられます。
外部指導者も子どもたちに技術的指導はできますが、大会や練習試合等への引率ができないため、感動をリアルタイムで共有できないのは残念に感じるかもしれません。
また、部活動指導員は、部活動を通じた生徒指導や保護者等への連絡もできるため、生徒や家族との信頼関係も築き上げられるでしょう。
教員免許がなくても子どもたちと深く関わり合い、細やかな指導ができるのは、部活動指導員ならではのメリットです。
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給与を受け取れる

部活動指導員は指導をしながらも給与を受け取れます。
給与を受け取ることで、指導へのモチベーションも維持できるでしょう。また、仕事として責任感も高まります。
給与の額は自治体によっても異なりますが、時給1500円〜2000円が多いです。なお、交通費も支給される場合がほとんどです。
自分の経験を活かせる

部活動指導員になるとこれまで培ってきた自分の経験を活かせます。
子どもたちに自分が持っている知識やノウハウを伝えることは、日本スポーツ界の発展を支えることにもつながります。
中にはスポーツとは無関係の会社に就職したものの、やはり何かしらの形でスポーツに携わりたいと感じている方もいるでしょう。
そのような方でも、部活動指導員になると本業を続けつつ、スポーツの感動や喜びを再び体験できます。
部活動指導員のデメリット

部活動指導員になるにあたっての注意点が3つあります。
- 部活動指導員の給与だけで生活するのは難しい
- 指導者としての責任が生じる
- 学校や保護者と連携する必要がある
人によってはデメリットに感じる可能性もあるので、しっかり確認しましょう。
部活動指導員の給与だけで生活するのは難しい

部活動指導員は給与を得られますが、その収入だけで生計を立てるのは難しいといえます。これは部活動指導員の給与が時給制で、勤務時間が制限されているためです。
時給や勤務時間は自治体によって異なりますが、例えば東京都で部活動指導員をする場合は以下のような給与が想定されるでしょう。
【1日3時間の勤務で時給2300円の場合】
1日あたり6900円
週4日働いた場合(計16日間)
給与は約11万400円/月
部活動指導員の給与が本業として十分でないため、部活動指導員一本で生計を立てるのは難しいですが、部活動指導員を副業として考えるなら問題ないでしょう。
指導者としての責任が生じる
部活動指導員は外部指導者よりも責任が重くなります。
たとえば部活動指導員の単独指導中や単独引率時に事故が生じた場合、責任を問われる可能性があります。
万が一の事故に備えて、事前に対策をしておく必要があります。
責任の重さを負担に感じる場合は、担当教員と共同顧問になれるかを確認しておくと良いです。単独で顧問になるより教員と共同で顧問を務めるほうが、不安も軽減できるでしょう。
学校や保護者と連携する必要がある

部活動指導員は部活動の担当教員はもちろん、子どもの保護者との連携も必要不可欠です。
担当教員とはスケジュール管理や指導方針などを共有する必要があり、意見が食い違う場合もあるでしょう。
しかし、楽しくて安全な部活動にするためには、双方が協力し合わなくてはなりません。
また、保護者から部活動に関する質問や意見をされる場合もあるので、適切で丁寧な対応をする必要もあるでしょう。
子どもたちだけでなく、学校や保護者ともしっかり連携する大切さを理解しておかなければなりません。
部活動指導員に向いている人の特徴

部活動指導員は、以下の知識や能力を持っていることが大切です。
- 豊富な部活動に関する知識を備えている
- 積極的でコミュニケーション能力がある
- 安全管理に対する知識とトラブルが起きた際も冷静に対処できる能力
生徒たちに的確な指導を提供するためには、その部活動の技術や戦術について深い理解が求められるでしょう。
また、生徒たちを引き立てるコーチング技術も必須で、生徒の成長とモチベーションを向上させる手腕が求められます。
さらに、事故や怪我が起こった際に対処できる能力も欠かせません。
総合的なリーダーシップと教育者としての情熱を持つ人が、部活動指導員の役割にふさわしいと言えます。
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部活指導員になりたい方はアスリートエージェントに相談しよう

部活指導員は自分の指導により、スポーツを志す子供たちの目標達成に関わることができるやりがいのある仕事です。
これまでのスポーツの経験やスキルを活かし、部活指導員を目指したい人もいるのではないでしょうか。
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まとめ
部活動指導員とは、部活動に関わる幅広い仕事を担う仕事です。教員免許など資格がなくてもなれる職業ですが、関連資格があると有利です。
部活動指導員になりたいとお考えの方は、ぜひアスリートエージェントにご相談ください。
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