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2018.06.29
39歳でゼロからスタートした「パデル」。今、日本代表キャプテンに。庄山大輔
パデル日本代表キャプテン!
今回ご紹介するアスリート、ですが……
そもそも“パデル”ってなんだ、と。
ざっくり言うと、壁に覆われたテニス。
平面のコートを打ち合うテニスに対して、
パデルはコートだけじゃなく、四方の壁も駆使。
どんなスポーツなんだろうと思い
庄山さんにパデルの面白さを聞いてみました。
「忍耐のスポーツです。
待って、待って、ここだというときに攻める。
それはまるで、狩りのような。」
Profile
庄山大輔(しょうやま だいすけ)1975年11月3日生まれ
パデルコーチ兼選手(日本代表キャプテン)。テニスコーチの経験を活かし、2015年にパデルコーチへと転身。2016年男子パデルオープン大会優勝、2017年度JPT所沢大会第2・3ステージ連続優勝、全日本パデル選手権優勝などの成績を残す。日本代表を務めながら、パデル指導者の育成にも励んでいる。
39歳でパデルに出会い、ゼロからの転身
―― 庄山さん、パデルに出会うまではずっとテニスコーチだったんですね。
はい。テニスコーチ歴、長くて。20年ほど。
最初にテニスをやったのは、高校の授業でした。なんか楽しいなって(笑)。
専門学生のときに学内の全国大会でシングル準優勝をしたものの、全国ジュニア、インターハイ、インカレなど、選手としての大きな成績っていうのが僕にはなくて。
いちプレイヤーとして活躍し続けることは難しそう。
そう悟って、24、25歳くらいのときにコーチ一本でやっていくことを決めました。
コーチ人生のスタートは、藤沢にある荏原(えばら)湘南スポーツセンターです。
―― ずっとテニスに励まれるなか、どんなタイミングでパデルを知ることに?
3年前、39歳のときです。
知り合いがFacebookに「パデルっていうスポーツのコートが所沢にある」という投稿をしていて、なんだか面白そうだなとピンときて。
それで所沢まで体験に行って。やってみると面白かったんですよ。
それで、当時ちょこちょこ書いていたブログでパデルの紹介をしたんですね。
そうしたら、たまたまそれを見たパデルクラブのオーナーが「うちでパデルコーチやりませんか?」と連絡をくれたんです。
テニスコーチの経験は長年ありましたが、パデルは所沢の体験で一度しかやったことないのに……(笑)。
ただ、ちょうどその頃、テニス業界の閉塞感を感じていたんです。
業界としてもういろんなことが完成されているなと。
悪いことじゃないですが、もどかしさもあったんですね。
パデルに興味もあったので、ひとまず話を聞きに行った結果、トントン拍子に話が進んで。
川口の『クロスワン』というクラブでパデルコーチをやることになったんです。
パデルには「初めて」を学ぶ新鮮さがあった
―― テニス歴がおありなので、パデルは特に難しくなかったのかな、と。
最初、空振りしました(笑)。
コートの四方にある壁もうまく使えなかったんです。
テニスができるんだからパデルもできるだろうと考えていたので、あれ?と思って……。
若干パデルを舐めていたというか、意外に難しいんだなと知りました。
『クロスワン』に入ってすぐにコーチの研修でスペインに行ったんです。
パデルが生まれた国で、面白さをどんどん吸収していきました。
でも、当時はまったく上手くなかったので、僕とラリーしている選手が「こいつとは練習できないよ」と途中で練習をやめちゃうこともあれば、相手がいきなりジュニア選手に交代することもありましたね(苦笑)。
ただ、そういう扱いをされても仕方ないよねっていうレベルだったんです。
―― あからさまですね(笑)。そのような状況で、パデルもうやめたいな、テニスに戻りたいなという気持ちにはなりませんでしたか?
やめたいな、ですか……。なかったですね。
確かにパデルは簡単じゃなかったですが、どんどん新しい技術を覚えていくことができたんです。
長い間テニスを続けているなかで、ひと通りの技術ができるようになっていた僕にとってものすごく新鮮で。
初めてのショット、初めてのルール。30代後半にしてまっさらなんですよ(笑)。
「できた!」っていう喜びを久しぶりに味わえることが楽しかったんです。
パデル特有の細かいショットやテクニックも好きでしたし、自分には合っているのかもしれないなと。
2016年、パデルが最も盛んなスペインを訪れて『Duet Padel Academy(デュ・パデル・アカデミー)』でパデルをしっかり学んで。
2017年はさらなるスキルアップをしたくて、3月と12月に再度そのアカデミーで技術を磨いてきました。
アルゼンチンパデル協会発行のコーチ資格、日本パデル協会公認C級パデルコーチ資格の取得もしたので、テニスで培ったものを活かしながら、新しくパデルコーチになった方、これからパデルコーチになる方に良い指導していきたいと考えています。
コーチ兼プレイヤーとしてもパデルに励む庄山さん。
今は、日本代表のキャプテンに。国際大会にも出場されています。
目指すは世界ランキング100位以内
―― プレイヤーとしてもトップを目指そうと考えたのはいつ頃だったのでしょう。
2017年に公式戦がつくられて、同時にランキングシステムもスタートして、全日本選手権も開催されるとなったタイミングですね。
試合ができるならやっぱり勝ちたいですし、まずは全日本で優勝することを一番の目標にしました。
初めの頃は、勝たなきゃいけないというプレッシャーも大きかったです。
プレイヤーはもちろん、パデルコーチなんて数名しかいなかったですし、コーチの存在意義をなくさないためにも勝たないとなって(苦笑)。
―― プレッシャーのなかで戦い続けられてきたんですね。今週末はオーストラリアでの大会に出場されるそうで。
はい、6月9日(土)10日(日)にオーストラリアで開催される『World Padel Championships 2018』アジア・オセアニア予選ですね。(※ 取材は6月5日)
10月にパラグアイで行われる世界大会本戦への切符を手にできるかどうかの試合なので、まずはそこで勝つことが直近の目標です。
この記事が掲載される頃には予選が終わっているので、パラグアイ行きが決まっていることを願っています。
あとは、国際パデル連盟(FIP)の世界ランキングで100位を切ることですね。
今年3月の全日本で優勝して177位になって。
それも決して低くないランクなんですが、今年9月と来年3月の大会でもいい成績を残すことができたら、おそらく100位以内に入って二桁になるんです。
パデルプレイヤーとしてそこは目指してみたいですね。
人生経験を重ねているからこそ勝てる
―― パデルコーチとして、これから実現したいことはありますか?
やっぱりコーチがより良い環境で仕事ができるようにしたいです。
低い給与でこき使われてしまうんじゃなく、コーチの地位を上げて、指導の仕事で充分に食べていける環境をつくっていきたいと考えています。
そのためにも、ちゃんとした指導者を育成することが必要なんです。
正直、テニスコーチという仕事は、教える本人のプレーが上手じゃなくても接客やコミュニケーションが上手ければできてしまうことがあります。
でもパデルに関しては、プレーが上手くないコーチだと生徒さんは教わりたがらないんです。
プレースタイルもルールもまだ広く知られていないですし、競技人口も少ないので、コーチからのちゃんとした指導も欲しいし、コーチの上手なプレーも見たいんですよね。
もしかしたらテニスよりもパデルの方がコーチになるハードルは高いかもしれません。
イタリアでパデルのブームが起こったときにしっかりと教えられる指導者がいなくて、パデルをどうプレーしたらいいのか分からない人が増えて、結局しぼんでしまった例もあるみたいで。
いい指導者を育成すれば、きっと競技人口も増えます。競技人口が増えれば、コーチも増えて、地位もどんどん上がっていく。
そう信じてやっています。
なので、現在はテニスやパデルコーチ育成において実績のある株式会社Nexus(ネクサス)のスポーツ事業部に籍を置いて、レベルの高いコーチを育成できるよう日々取り組んでいます。
―― 最後に、庄山さんが考えるパデルの魅力を教えてください。
パデルって「忍耐」が必要なスポーツなんです。
チャンスを伺い続ける、狩りのような。
ここだというタイミングをとにかく待って、待って、ここだというときに攻める。
あと、カウンターアタック(※)がテニスにもありますが、パデルはより多いこともあって、攻守が一気にひっくり返ることが結構あるんですよ。
(※カウンターアタック:防御から一転して攻勢に移ること。敵の攻撃の勢いを利用して攻めに転じること。)
それから、パデルはダブルスのみでプレーする競技なので、ペアとの相性やコミュニケーションも重要です。ペアのプレーをどれだけ許容できるかどうか。
「忍耐」と「許容」のスポーツなので、体力のある若い選手が勝てるとは限らなくて。
年齢、人生経験を重ねている選手が勝てたりして、パデルにはそういう面白さがありますね。
僕自身、我慢ができるようになった40代だからこそ勝てているのかもしれません(笑)
取材後記
取材から数日後、
オーストラリアで開催された
アジア・オセアニア予選の敗退を知りました。
試合後、庄山さんのブログには
悔しさと、感謝と、チームメイトへの愛と
2020年に再び開催される大会を目指す想いが。
「30代後半にしてまっさらなんですよ。」
「できた!という喜びを味わうことが楽しい。」
取材中、そう嬉しそうに話しながら
無邪気にころころと笑う庄山さんの姿を
ブログの一文字一文字を追いながら
思い出しました。
▲「よし行くぞ!」「頑張ろう!」という意味のある、Vamos(バモ)という言葉。
いくらテニスの経験があるとはいえ、
39歳でゼロからスタートしたパデル。
でも今、彼は日本代表キャプテンです。
好奇心はどんなことだって可能にする。
2020年、きっと勝てる。そう信じています。

庄山 大輔Daisuke Shoyama
パデル日本代表キャプテン/パデルコーチ
取材/アスリートエージェント 小園翔太
取材・文/榧野文香
パデル東京 公式ホームページ
http://www.padelasia.jp/
株式会社Nexus(庄山氏所属会社)
http://www.nexus-c.net/padel.html
庄山大輔 ブログ
http://japanpadel.net/
Tシャツ提供 ニューモード株式会社
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