2024.11.24

スポーツが地域を活性化する?全国の成功事例を紹介

スポーツによる地方活性化に注目が集まっています。

スポーツの持つ多様な力を活用し、地域の経済効果創出や雇用の拡大などを促進することは可能なのでしょうか?

本記事では、課題点や成功事例を解説していきます。将来はスポーツによる地域活性化に携わりたいと考えている人もぜひチェックしてみてください。

スポーツによって地域活性化が可能?地方自治体が抱える課題とは

スポーツと聞くと多くの人が競技スポーツをイメージするかもしれませんね。

しかし、スポーツ庁では競技としてのスポーツだけでなく、日常的な身体活動全般をスポーツと捉え、地方の少子高齢化や住民の健康増進、地域の過疎化、地域経済の衰退といった多くの地方自治体が抱える課題を解決に導くだろうとし、様々な施策を講じてきました。

現在、少子高齢化や地方創生は国家的な課題です。

スポーツ庁はこれまでにスポーツツーリズムや地域のスポーツコミッション、スポーツ・健康まちづくりといった取り組みを進めてきました。

また、「スポーツ・健康まちづくり優良自治体認定表彰制度」を創設し、表彰された自治体は先進的モデル地域として全国に広くアピールされています。

参考:公益社団法人 日本交通公社特集1 スポーツによる地方創生・まちづくりに向けた取組 原口 大志

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スポーツ庁の支援事業

スポーツ庁がこれまでに行ってきた支援事業について解説していきます。

地域スポーツコミッション活動支援

地域スポーツコミッションとは、地方公共団体とスポーツ団体、観光産業等の民間事業者が一体となった組織のことです。

「銚子スポーツタウン協議会」「志摩スポーツコミッション」「関西広域連合」といったスポーツコミッションが日本各地に設置され、スポーツツーリズムの推進やスポーツイベントの開催、交流人口の拡大と地域コミュニティの形成・強化を目指す活動を行っています。

まだ設置されていない地域も多く、地域スポーツコミッションのさらなる拡大・拡充が目標とされています。

スポーツ庁は地域スポーツコミッションの活動に対して支援を行い、スポーツを観光資源とした地域活性化および地域スポーツ活性化の促進を図っています。

たとえば、交流人口拡大のためのスポーツイベントの活動支援や、国際的なスポーツイベントを見据えた交流事業の促進、スポーツ観光資源の活用による訪日旅行者誘客の支援などを実施しています。

また、国はスポーツによる地域活性化に伴い地域ブランドの創出支援も行っています。

地域ブランドとは、地域の特徴を活かした商品やサービス、景観や風土を活かしたイメージなど他の地域と差別化された価値のことです。

参考:スポーツ庁

スポーツツーリズム推進

スポーツツーリズムとは、スポーツ資源とツーリズムを融合した取り組みのこと。

日本では2010年の政府の観光立国推進本部で初めて採り上げられ、同年に「スポーツツーリズム推進連絡会議」が設置、翌年には「スポーツツーリズム推進基本方針」が策定されました。

スポーツツーリズムによって大きな経済効果が生まれ、交流人口の拡大やまちづくりと環境整備などが進んでいます。

また、スポーツツーリズムを進めていくにあたり、なくてはならないのが地域スポーツコミッションの力です。

利用者の窓口となって対応し、スポーツと観光組織の連携、調整をワンストップで行います。

参考:一般社団法人 日本スポーツツーリズム推進機構

スポーツによる地域活性化の課題は?

ここからは、スポーツ×地域活性化の7つ事例を紹介します。

長期的な収益性

全国の地域スポーツコミッションでは、長期的な収益性の課題感を持っている組織が多いようです。

自主事業による収入を持つ団体だけではなく、行政からの委託事業や運営補助金に頼っている団体も多く、民間企業等との連携が課題のようです。

専門家の不足

専門家の不足も課題の1つとなっています。

特に慢性的な人材不足がある地方では、スポーツによる地域振興の有識者や、組織のマネジメントができる人材が足りず、他の地域の専門家に業務委託をしなくてはいけないという実情も。

専門家の育成・創出が求められています。

観光資源の不足

スポーツツーリズム事業を展開するにあたり、「魅力ある観光資源がない」といった課題を抱えている地域もあります。

もともと地域の知名度・認知度が低いと人を呼び込むことから大変であるという声も。

打開策として、未活用の観光資源の発見と創出、ICTを活用したPR、地域住民との連携、インフラ整備といった内容が進められています。

また、多言語対応の観光案内や意見収集と分析によるスポーツツーリズムのブラッシュアップも大切です。

全国の地域活性化事例を紹介

千葉県銚子市

千葉県銚子市の特定非営利活動法人銚子スポーツコミュニティーは、千葉県初となるスポーツコミッション。

2018年に銚子スポーツタウンを設営し、スポーツツーリズムの拠点として整備・運営を行ってきました。

もともとは銚子西高校の敷地であり、4万㎡の広大な敷地に野球場2面と3階建ての体育館、宿泊施設が設けられています。

プロたちが指導する地域スポーツクラブも実施。地域の人々の健康増進にも貢献しています。

銚子スポーツタウンを立ち上げたNPO法人 銚子スポーツコミュニティ理事長の小倉和俊さんは、銚子で50年続く水道工事店の経営者。

銚子の人口減少と衰退に危機感を抱き、スポーツによる地域活性化に興味を抱くようになったのだとか。

市役者や商工会議所、観光協会の関係者たちにもスポーツコミッションの必要性を説き、地域の人々の共鳴を起こしました。

サイクリストが気軽に立ち寄ることのできるサイクルステーションの設置や、グルメライドイベントの実施も大きな功績の一つ。

サイクリング大会のときには他の地域から多くの観光客が訪れ、食事、宿泊、交通の分野で大きな経済効果が生まれています。

参考:銚子スポーツタウン銚子市観光協会

北海道網走市

北海道網走市はラグビー合宿の聖地として知られています。網走の夏は晴れの日が多く、日照時間が長いのが特徴です。

また、夏の冷涼な気候を活かし、合宿に最適な環境を整備したことや、日本一の芝生と賞賛される良好なグラウンドを設けていることもポイントでしょう。

網走がスポーツ合宿を受け入れはじめておよそ30年。施設の整備や受入体制を整え、企業や大学に来訪を働きかけてきました。

現在はラグビーの合宿だけで年間約15チームが訪れ、オホーツク地域観光の誘引を図っています。

経済効果は毎年5億円以上にのぼるとのこと。令和4年には、コニカミノルタ、トヨタ自動車、Hondaなどのチームが網走を訪れました。

その他にも同市では、マラソン大会を実施するなどスポーツツーリズムにも積極的です。

参考:スポーツ庁朝日新聞

茨城県笠間市

茨城県笠間市の「笠間スポーツコミッション(笠間SC)」は、令和3年に笠間市とスポーツ団体、民間企業などが連携して立ち上がりました。

令和4年8月には「一般社団法人 笠間スポーツコミッション」として独立。笠間市内のスポーツ資源を活用した大会誘致や合宿誘致、スポーツ教室などを展開し、スポーツ振興および地域活性化を図っています。

笠間SCでは、スケートボードやBMX、ブレイキンなどの「アーバンスポーツ」を中心に取り組みを推進しているのが特徴です。

各種スケートボード大会やイベント、合宿誘致や支援を行っています。

2023年には県内最大規模となるブレイキン大会『Breakin’ 1on1 Battle KASAMA-舞闘炎- Vol.01』を開催しました。

また、『茨城県知事杯スケートボード大会』や『かさま陶芸の里 ハーフマラソン大会』も定期的に開催し、笠間市の伝統文化や豊かな自然など地域の特色を活かした大会となっています。

参考:笠間スポーツコミッションスポーツ庁 Web広報マガジ

三重県熊野市

三重県熊野市では、海辺の環境を活かしたマリンスポーツでまちおこしをしています。三重県熊野市は山と海に囲まれた自然豊かなエリア。

新鹿海水浴場は「日本の快水浴場百選」にも選ばれ、他県からも多くの海水浴客が訪れています。

しかし、近年は若者の海離れが加速。新鹿海水浴場の海水浴客も年々減少していきました。

このような状況を打開するために、2011年に熊野マリンスポーツ推進委員会が設立されました。

熊野市市役所の職員や地元のマリンスポーツ有識者、地元の漁師、地域おこし協力隊などがタッグを組み、2012年には「熊野シーカヤックマラソン大会」を開催。

2014年以降はスタンドアップパドル(SUP)の大会も開催し、200名以上の参加者を募ることに成功しました。

様々な立場の人の意見を取り入れ、大会は年々ブラッシュアップされています。

地元の飲食店と協力して選手たちに郷土料理を振舞ったり、選手以外の人々も楽しめるレクリエーションを企画するなどして、現在は海外の世界チャンピオンも参加するほどに。

この取り組みはスポーツ庁の「スポーツによる地域・経済の活性化」における成功事例として取り上げられました。

参考:政府広報オンライン

秋田県

秋田県はスポーツを地域発展のシンボルとし、平成21年に「スポーツ立県あきた」を宣言し、平成24年度には知事部局に「観光文化スポーツ部」を創設しました。

平成23年には県がイオン株式会社と契約を結び、地域WAON「あきた元気!WAON」の利用金額の一部が秋田県に寄付されることになり、この寄付金はスポーツ振興やスポーツを通じた地域活性化に役立てられています。

秋田県は2030年までの目標としてとして「スポーツを通じてすべての県民が幸福で豊かな生活を営む元気な秋田」と発表。

今日まで、プロ選手の育成と強化や学校と地域における子どものスポーツの機会の充実、ライフステージに応じたスポーツ活動の推進、スポーツを通じた交流による地域活性化、地域のスポーツ環境の整備など様々な取り組みを実施してきました。

秋田県は面積が広いため、スポーツに適した空間が多数あります。また、伝統的なお祭りが多く、観光とスポーツを連携させやすいのも特徴です。

参考:秋田県観光文化スポーツ部「秋田県スポーツ推進計画」秋田県公式サイト

大分県

福岡県飯塚市では、アジア最高峰の車いすテニス大会「飯塚国際車いすテニス大会」が開催されています。

2023年で39回の開催を迎える本大会は、1990年の第6回で世界ランキング認定大会に指定され、2004年の第20回ではスーパーシリーズに格上げされました。

毎年世界約15カ国から約100名のトッププレイヤーが参戦しています。2018年には、障害者スポーツ初となる「天皇杯・皇后杯」が下賜されました。

官民一体で運営される本大会は、毎回2000名以上のボランティアスタッフが運営支援に携わり、地域を挙げてのホスピタリティ溢れるイベントとなっています。

世界各地からたくさんの人が訪れ、この大会のあり方が賞賛されています。2023年大会は観客数は約9000名にのぼり、全国・世界から注目されているイベントといえます。

参考:飯塚国際車いすテニス大会

広島県

広島県観光連盟は、2024年2月に広島市内で新しいサッカースタジアムを開業しました。これを機に地域一帯の観光振興を図っています。

県外から訪れる観戦者をターゲットに、街巡りツアーを考案したり宿泊環境を整備したりして、地域の魅力を知ってもらえるように計画を進めています。

また、スポーツと観光を融合したスポーツツーリズムにも本格的に乗り出し、スタジアム東側の被曝樹木を巡るツアーや船に乗ってスタジアムを訪れる水上交通のツアーなどを計画。

プロスポーツチーム が多い広島だけに、今後の期待が高まります。

参考:中國新聞サンフレッチェ広島

成功事例から分かるポイント

スポーツによる地域活性化を成功させるコツはなんでしょうか。成功事例から分かることをまとめてみます。

  • 官民一体となって取り組んでいる
  • 収益化に成功
  • 地域の資源や風土をうまく活用・PRできている
  • 海外からの来訪者を想定した対応
  • オンラインツールの積極的な活用

以上のようなポイントが見えてきます。スポーツによる地域活性化の注目度は年々高まっていますが、成功させるためには長年の積み重ねも必要です。

協賛企業を増やしたり、地元住民の協力をどれだけ得られるかによって結果は大きく変わってくるはずです。

「スポーツのイベントを1回開催して終わり」「今年限りのプロジェクト」にならず、何十年も取り組みを続けていくためには、地域に住まう1人ひとりがスポーツコミッションについて知り、共に盛り上げる意識を持つことも大切です。

スポーツ経験を活かして地域活性化に携わりたい人におすすめの就職先

地方公務員

スポーツによる地域活性化に携わりたいと考えたら、地方公務員を目指すのがおすすめです。

特にスポーツ振興に注力している自治体であれば、「スポーツ振興課」「スポーツ地域活性化」といった部署がある可能性が高いです。

ただし、地方公務員になれたとしても必ず希望の部署に配属されるとは限らないので注意が必要です。

スポーツ関連施設

地域のスポーツクラブやスポーツチーム、体育館やスタジアムといったスポーツ関連施設で働くことで地域活性化事業に携わることも可能です。

イベントの企画運営に携わったり、イベントスタッフとして活躍できる機会もあるかもしれません。気になる施設があれば、過去にどのような取り組みをしているのかをぜひ調べてみてください。

イベント会社・コンサル会社

イベント会社やコンサル会社も選択肢の1つです。

スポーツに特化してイベント企画やコンサルを実施している会社もあるので、スポーツによる地域活性化を実現したい場合は、就職の際に自分の夢を伝えてみるのもよいかもしれません。

自分のアイデアを活かし、人に喜んでもらうことのできる仕事です。

スポーツで地域活性化を目指す人は、アスリートエージェントを活用しよう

スポーツで地域活性化を目指す方法は、一つの方法にとどまらず複数あることをご紹介しました。

これまでの学びや経験などを活かして、スポーツを活用した地域活性化を目指したい人はアスリートエージェントの活用がおすすめです。

アスリートエージェントは、スポーツを通して地域活性化を実践する企業や自治体とのつながりを多くもっています。

スポーツ業界に根付いた企業とのコネクションの多さは、アスリートエージェントの強みといえるでしょう。

「スポーツで地域活性化する仕事に就きたい」「スポーツ×地域活性化の事業を知りたい」人は、アスリートエージェントへご相談ください。

アスリートエージェントについては以下のYouTube動画で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

まとめ

スポーツによる地域活性化は一朝一夕で成功するわけではなく、長期的に継続していく必要があります。

1人ひとりのアイデアや熱意が成功に繋がるともいえます。スポーツの力を上手く活用して日本の未来を明るくしたいですね。

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