2025.03.01

アスリートのキャリア形成に「起業」という選択肢。ビジネスで成功するために必要なことは?

アスリートのキャリアを活かし、起業家として活躍している人が増えています。リスクのある大きなチャレンジではあるものの、働き方の自由度が高く、自己実現の手段としても魅力的な選択肢です。

本記事では、アスリートの起業に関する情報をまとめました。起業を検討している方や、引退後のキャリアで悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。

INDEX

アスリートたちが感じるキャリア形成の不安

引退後のキャリア形成は、多くのアスリートたちの悩みの種となっているようです。スポーツを生業にする以上、必ず引退を迎える時期がやってきます。

競技によって引退の平均年齢は異なりますが、早ければ20代、比較的長く現役生活を続けられる競技でも40代で引退のタイミングが訪れます。

また、怪我や病気といった予期せぬ事情で突然競技生活が終わってしまう可能性もゼロではありません。

アスリートたちが引退後のキャリアを考える上で、以下のような課題が存在します。

  • これまで競技に打ち込んでいたため、セカンドキャリアに意識が向いていなかったこと。
  • ビジネススキルが習得できていないこと。
  • スポーツで形成したキャリアが、ビジネスの世界で評価されにくいこと。
  • 大学や所属チームにおけるキャリア支援が不十分であること。

こういった課題を目の前に、アスリートたちは「スポーツ以外の世界でやっていける自信がない」と悩んでしまうパターンが多く、中には孤立してしまう人もいます。

平成27年に文部科学省の外局として新設されたスポーツ庁では、アスリートたちが現役時代から引退後のキャリアについて準備ができるように、企業や団体と連携して様々な支援を行っています。

アスリートと企業のマッチング支援や、アスリートに対する資金拠出事業などもその一環です。また、こういった流れを受けて、アスリートを積極的に採用する大手企業も増えてきました。

まだまだ課題は残るものの、アスリートの引退後のキャリアに関して、以前よりも選択肢の幅が広がりつつあるといえます。

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参考:スポーツ庁

アスリートが起業する魅力

一般企業への就職や、現役選手から指導者に転身するといった選択の他に、自分で事業を起こす「起業」という道もあります。

具体的には、株式会社や合同会社などの法人を設立したり、個人事業主(フリーランス)になるということです。

ここからは、アスリートが起業をする魅力について解説します。

働き方の自由度が高い

起業をすると、働く場所や時間を自由に決めることができます。ライフスタイルに合わせて仕事を調整できる点は大きな魅力です。

また、報酬額を自分で定めることができるのも起業する利点といえます。

スポーツ経験を活かせる

「スポーツの経験はスポーツ業界でしか活かせない」と考える方もいるかもしれませんが、アスリートはスポーツのキャリアを活かして様々な業界で活躍しています。

ファッション業界や教育界などとも接点を持ち、自分のポテンシャルを活かすことが可能です。

競技活動と並行できる

働き方の自由度が高いため、事業計画次第では競技活動との並行が可能になります。

例えば、日中は練習に打ち込み、夕方から夜にかけて事業に注力するといったスケジューリングを行えば、現役アスリートとして活躍しながらビジネスを行うことができます。

企業の正社員になってしまうと、上記のような働き方はなかなか難しくなるため、起業したからこその強みといえるでしょう。

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自己実現ができる

自己実現のために起業の道を選ぶ人も少なくありません。

競技生活で培った経験を、社会の中で役立てることに喜びを感じたり、自分の夢を叶えたいという熱意を持っている人は起業に向いているといえるでしょう。

企業に就職して自己実現を目指すこともできますが、すべての裁量が自分にある分、起業をすることで自己実現までの最短ルートを歩みやすくなります。

アスリートが起業後に失敗しないためのポイント

起業が成功しても軌道に乗るまでには時間がかかります。ここでは、起業後に失敗しないためのポイントをご紹介します。

起業の目的を明確にする

ビジネスの目的が明確になっていないと、せっかく走り出しても頓挫してしまう可能性が高いです。

目的を定めることで、方向性が決まりモチベーションを保って事業を続けることができます。

まずは、「何のために」「誰のために」「どうして」といった分析をしっかりと行い、起業の目的をはっきりさせましょう。

現役で競技活動をする人は時間の使い方を工夫する

現役で競技活動をしながら同時進行でビジネスをする場合は、時間の使い方に工夫が必要になります。

「競技の隙間時間にビジネスを行う」といった曖昧な計画を立てるよりは「練習が始まる10時までと、練習後の20時以降はビジネスに使う」といったように、はっきりと線引きをしてルーティンワークにしたほうが、競技とビジネスにバランスよく力を注げるでしょう。

片方に時間配分が偏らないように、定期的にバランスの見直しを行うことも大切です。

ビジネススキルを習得する

これまでスポーツ一本でやってきたアスリートは、セミナーや書籍を用いてビジネススキルを習得することをおすすめします。

ビジネススキルとは、コミュニケーションスキルやマネジメントスキル、ITスキルといったビジネスの場面で必要不可欠となる能力のことです。

やりたい業種によって必要なスキルは異なるため、どんな力を身につけるべきかを整理してみましょう。

信頼できる士業を見つける

会社を設立する際には、複雑な手続きが必要となります。すべての手続きを自分だけで進めるのは至難の業です。

そこで、司法書士や行政書士、社会保険労務士、税理士、弁護士といった士業を頼ることで、開業の手続きがスムーズに進みます。

まずは無料相談や見積もりをお願いしたり、知人から紹介してもらい、どんなことを依頼できるのかを把握しましょう。

SNS等を活用して共感の輪を広げる

SNSは世界中に簡単に情報発信ができるサービスです。ホームページを作成するには専門知識が必要ですが、SNSであれば知識がなくても無料で始められます。

事業用のアカウントを登録し、ターゲットに対してコツコツと情報発信を行うことで集客が望めます。

さらに、SNSの動画投稿機能や配信機能を活用することで、より分かりやすく魅力を伝えることができます。

アスリートとしてのブランド力を活かす

現役アスリートはもちろん引退後の選手であっても、スポーツ経験を付加価値としてビジネスに活かすことができます。

例えば「元アスリートが代表を務めるパーソナルジム」や「現役の陸上選手が企画したスポーツウェアブランド」といったように、スポーツ業界で起業する場合は特にアスリートのブランド力を活かすことができます。

また、スポーツ業界以外であっても「五輪メダリスト◯◯が開業したカフェ」といったように、選手時代の知名度を使ってPRすることも可能です。

悪質なコンサルタントに要注意

経営コンサルタントは事業に関するアドバイスや戦略提案、分析などを行なってくれる強い味方です。しかし、中には悪質なコンサルタントも存在するため注意が必要です。

誇張した表現を多用したり、ヒアリングに基づいた提案をしてくれない、上から目線のコミュニケーションをしてくるといった傾向があれば要注意です。

契約前に十分なコミュニケーションを取り、契約内容をよく確認することが大切です。コンサルタントの口コミ等があれば、目を通しておくのもおすすめです。

廃業リスクに備える

起業が成功しても、軌道に乗らず廃業してしまうリスクがあります。事業計画書を作成し、適切な資金計画や資金調達をすれば廃業のリスクを下げることはできます。

廃業リスクに備え、定期的に士業に相談してアドバイスを受けることも重要です。

スポーツと相関性が高い業界

アスリートが起業する場合は、スポーツと相関性が高い業界であるほどスポーツ経験で培った力を発揮することができるため成功しやすいと考えられています。

ここでは、スポーツと相関性が高い業界を5つご紹介します。

スポーツ関連

スポーツ業界には、スポーツチーム、スポーツサービス業、スポーツ用品産業、スポーツ施設業といった仕事があります。

自分自身がスポーツをする、またはスポーツと直接関わる仕事をしたい場合はスポーツ業界での企業がおすすめです。アスリートとしてのキャリアやスキルも十分に活かせると期待できます。

マスコミ

テレビや新聞、雑誌、Webメディアといったマスコミ、メディア関連の業界です。常に締切に追われるハードな業界のため、体育会系出身者も多く、スポーツ経験者は有利になります。

フリーランスとして活躍している記者やライター、カメラマン、動画編集者が多いのも特徴です。

ファッション

スポーツとファッションの世界は相性がよく、オリジナルブランドを展開しているアスリートたちもいます。

競技用のスポーツウェアに限らず、着やすさや使いやすさを重視した一般向けのファッションを企画したり、自身が広告等となって商品を宣伝したりと、事業の展開の幅が広いのも魅力です。

おしゃれが好きな人や、トレンドに敏感な人に向いている業界です。

教育

子ども向けの体操教室やスポーツクラブや学校教員など、教育に関わる仕事もアスリートと相性がいい仕事です。

自身がスポーツで学んだことを次世代の子どもたちに伝えていきたいという想いがある人にはぴったりの業界でしょう。また、子どもと関わることが好きな人にも向いています。

福祉

高齢者や障害者の介護福祉の現場で活躍しているアスリートもいます。

特に、スポーツ医学の知識があればリハビリテーションやレクリエーションに携わることも可能です。関連する資格を取得すると、できることの幅が広がるでしょう。

スポーツ×仕事に関しては、以下の動画でも解説しています。ぜひチェックしてみてください。

アスリートが起業するときのステップ

アスリートが起業する際には、正しいステップを踏むことが重要です。ここでは、アスリートが起業する時のステップを解説します。

「起業を考えているけどどのように進めたらいいの?」「起業をするためのステップを知りたい」などと考えているアスリートは、ぜひ最後までご覧ください。

自分の強みや経験が活かせる分野を決める

アスリートが起業する際、まずは自分の強みや経験を活かせる分野を決めましょう。競技生活で培ったスキルや知識は、ビジネスの世界でもおおいに役立ちます。

例えば、「特定のスポーツに関する指導やトレーニングプログラムを提供すること」「アスリート向けの健康管理やメンタルサポートを行うこと」などが考えられます。

アスリートとしての経験をもとに、モチベーションや目標設定をサポートするコーチングや講演活動なども活かせる分野です。

分野を決める際は、自分が情熱を持ち続けられる分野を選ぶことが重要です。

アスリートとしての経歴や特技、さらには競技中に得た経験や人脈を活かせるビジネスモデルを考えることで、成功の確率を高めることができます。

自分の強みを最大限に活かせる分野を見つけることで、ビジネスを軌道に乗せる第一歩を踏み出すことができるでしょう。

ビジネスプランを作成する

次に、ビジネスプランを作成しましょう。ビジネスプランとは、事業の方向性や戦略、目標を明確に示す計画書であり、起業の成功に向けた道筋を描くために必要不可欠です。

アスリートとしての経験を活かしたビジネスを立ち上げる際には、自分が提供するサービスや商品、ターゲット市場、競合分析、収益モデルなどを詳細に考えます。

ビジネスプランの作成にあたっては、まず自分が提供する価値(例:トレーニングプログラム、アスリート向けの健康商品、スポーツメンタルコーチングなど)を明確にし、それがどのように顧客のニーズに応えるかを考えてみましょう。

ビジネスプランを作成するには、ビジネスを立ち上げるための資金調達方法やマーケティング戦略、運営の仕組みも含めて計画します。

ビジネスプランがしっかりとしたものであれば、投資家やパートナーを説得する際の有力な武器となり、事業をスムーズに進めるための指針となるでしょう。

人脈やマーケティング戦略を駆使して事業を広めていく

アスリートが起業する際、事業を広げるためには人脈やマーケティング戦略を効果的に活用することが非常に重要です。競技生活を通じて築いてきた人脈は、起業後のビジネスに役立ちます。

トレーニング仲間、コーチ、スポンサー、ファンなど、アスリートとしての経験から得たネットワークを活かして、ビジネスを広めるための協力者や顧客を見つけることができます。

また、同じ業界で活動する他のアスリートや専門家と提携することで、より多くの信頼を得ることができるでしょう。

マーケティング戦略においては、SNSやYouTubeなどを活用して、ブランドの認知度を高めることが重要です。

アスリートのパーソナリティや競技経験を前面に出し、ターゲット層に向けたメッセージを発信することで、ファンや顧客を獲得することができます。

さらに、インフルエンサーや有名なスポーツ選手とのコラボレーションを行うことで、事業を短期間で拡大することも可能です。

しっかりとしたマーケティング戦略と人脈の活用で、事業を軌道に乗せることができるでしょう。

起業家として活躍するアスリートの例

ここからは、実際に起業家として活躍しているアスリートたちの事例をご紹介します。

アスリートの腸内細菌に特化した商品・サービスを展開する鈴木啓太元選手(サッカー)

元サッカー日本代表選手の鈴木 啓太氏は、引退と同時にAuB株式会社を設立。大学・企業と研究開発を重ね、機能性や品質を科学的に追求した商品・サービスを提供しています。

世界トップクラスのアスリート腸内細菌のデータ数を保有し、アスリートと共に得た知見を社会に還元しているのが特徴です。

会社名:AuB株式会社

事業内容:コンディショニングサポート事業、バイオマーカー開発事業、腸内細菌関連製品開発事業
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独自のプログラムのスイミングスクールを設立した北島康介元選手(水泳)

北島 康介氏は、日本の元競泳選手。アテネ五輪、北京五輪にて2連覇2冠の金メダリストを達成したことで有名です。

現在は東京都水泳協会の会長であると同時に、株式会社IMPRINTの代表取締役社長兼CEOとしても活躍中です。

オリジナルプログラムで水泳指導するスイミングスクール「キタジマアクアティクス」を立ち上げ、指導の他、水泳普及活動やYouTubeでの情報発信を行なっています。

会社名:株式会社IMPRINT

事業内容:アスリートのマネジメント事業、スイミングスクール運営
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女性のための吸水型ボクサーパンツを開発した下山田志帆選手と内山穂南元選手(女子サッカー)

現役女子サッカー選手の下山田 志帆選手と、元サッカー選手の内山 穂南さんは、「女子アスリートの価値を高めたい」という想いから、共同代表となり2019年に株式会社Reboltを創業しました。

2人は女性が生理中でも履ける吸水型のボクサーパンツを開発し、世に送り出しました。

下山田選手がLGBTQ当事者であることを公表していることもあり、「普通はこうあるべき」をなくし、1人ひとりの個性が肯定される社会を目指し事業を展開しています。

会社名:株式会社Rebolt

事業内容:「吸収型ボクサーパンツOPT」の企画・販売
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英語バレエ講師として会社を立ち上げた馬場彩月さん(バレエダンサー)

フリーでバレエダンサーとして舞台活動を行う馬場 彩月さん。株式会社Peonyを設立し、独自のメソッドによる英語でのバレエ・ダンスレッスン教室を始めました。

かつて海外で活躍していたキャリアを⽣かし、英語とバレエ・ダンスを掛け合わせた「ホビングリッシュ事業」を展開。保育園や幼稚園などで導入されています。

会社名:株式会社Peony

事業内容:英語バレエクラスの運営・英語コーチング事業
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起業を考えるアスリートはアスリートエージェントに相談しよう

アスリートが起業を考える際、必要なのは信頼できるサポート体制です。

「アスリートエージェント」は、アスリート特有の課題を理解し、事業の立ち上げをサポートしています。

アスリートエージェントは、競技生活で培ったスキルや人脈をどのようにビジネスに活かすかを一緒に考え、具体的なアクションプランを立てる手助けをしています。

起業に必要なビジネス知識やマーケティング戦略、資金調達の方法など、実務面でもサポートが受けられるでしょう。

さらに、アスリートエージェントはネットワークを活用し、アスリートがフリーランスとしての活動を始めるために必要な業界のつながりを紹介してくれる場合があります。

自分だけで進めるのが不安な場合でも、専門家のアドバイスを受けながら進めることで、よりスムーズに事業を広げていくことができるかもしれません。

起業の成功への確実な一歩を踏み出すことを目指すアスリートは、アスリートエージェントに相談しましょう。

まとめ

起業家として成功しているアスリートたちの姿をヒントに、ぜひご自身のキャリアについても見つめ直してみませんか。

アスリートエージェントは、アスリートたちの新しい挑戦を応援します。引退後のキャリア形成で悩んでいる方は、ぜひお気軽にご利用ください。アドバイザーが親身になってあなたのキャリアの相談に乗りますので、ぜひ登録してみてくださいね。

アスリートエージェントとは?

アスリートエージェントは、アスリート・体育会&スポーツ学生に特化した就職・転職エージェントです。

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